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「あの、少し聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
「……なんだ?」
僕を睨んで、男が渋々口を開く。
「あ、僕は天狗の一ノ瀬 青藍と言います。よろしく。…君の同族のことを悪く言うようで申し訳ないのだけど、十五年前に、人間を襲っていた鬼がいたんだ。知らないかな?」
男は、無表情に無感情に僕を見ていた。でも、赤みがかった瞳が、微かに揺れたような気がした。
ーー何か知ってる…?
更に僕が言い募ろうとすると、男が静かに話し出した。
「…俺の名前はふじお。藤の花の藤に隠すと書く。心隠は俺の叔父だ。子供の頃にここで一緒に暮らしていた時もあったが、俺はすぐにこの家を出た。その時から心隠と連絡も取ってない。だから今はどこにいるのか知らない。あと、十五年前のその鬼のことも知らない。…これでいいだろう。早く帰れ」
それだけ早口でまくし立てると、藤隠は僕達を睨みつけた。
「なぜそんなにも俺達を追い返そうとする。敵意はないと言っただろう。それとも、何か隠したいことでもあるのか?」
銀おじさんが、苛立ちを露わにして怒りを含んだ声で言う。
銀おじさんの言葉に、また藤隠の瞳が微かに揺れたように見えた。
「はあ?隠すことなど何もない。俺は自分の領域に、他人が入って来ることが嫌なんだ。これ以上ここに居座ると言うなら、力づくで追い出す。もしくは、この人間を襲って…っ」
「…凛に手を出したら、おまえの命はないぞ」
藤隠が言い終えるよりも早く、銀おじさんが冷たい空気をまとって藤隠の首を片手で掴んだ。
銀おじさんの本気の力には、僕なんて到底適わない。今も、怒りが僕に向けられてる訳じゃないのに、銀おじさんのあまりの迫力に、全身に鳥肌が立っている。
隣に立つ天清も同じで、ピクリとも動くことが出来ないようだった。
「…ぐっ!はな、せ…っ」
「銀ちゃん!早く離してっ」
凛が、慌てて銀おじさんの腕に飛びついて止める。
銀おじさんは、藤隠の首からすんなりと手を離すと、「よく肝に銘じておけ」と冷たく吐き捨てた。
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