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音をたてて壊れてく 4 ー秀ー
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「和也さんっ!?」
部屋に入ってきたのは和也さんと、見たことない黒髪長髪のキレイな女性の姿だった。
「あーあ、酷ぇなこりゃ…。
秀君、大丈夫…じゃねぇな…。」
「………。」
「だよな…。
あ、こっちは俺の彼女、いろいろ手伝ってもらおうと思って。」
「話はいろいろ聞いてるの、大変だったわね。
私はアキ、よろしくね。」
和也さんの彼女さん…アキさんはにっこり笑って優しく手を握ってくれた。
その温かく柔らかい手からアキさんの人の良さが伝わってきそうだ。
どうやら清四郎と和也さんで連絡のやり取りはしているようで………。
「二人とも悪いな。」
「いいのよ、カズがいつも迷惑かけてるし(笑)」
「おい、なんだよそれ。」
「あら、違うの??
とりあえず、私は部屋の掃除と何か食べれるもの作るから、お二人さんは作戦会議でもしてて。」
そういえば俺、さっき部屋で吐いてる。
その始末を他人にさせるのは…。
「待ってください、掃除は俺が……うわっ!!!!」
「秀っ!!!」
急いでタオルケットから抜け出してアキさんの元へ行こうとすると、脚に力が入らずバランスを崩して倒れてしまった。
清四郎がかろうじて受け止めてくれたが、それでもちゃんと立てなかった。
「急に立つな!」
「だって…。
俺、さっき吐いちゃったの…自分で片付ける…。」
「そんなの気にしないで任せて♪
カズなんてら飲みすぎてウチに来ては吐くんだから、慣れてるのよ。
こんなときは人に甘えなさい。」
「ヤメロ、んな自分の男の恥をペラペラ話すなよ///」
アキさんはニコニコ笑って洗面所に向かった。
和也さんは恥ずかしそうにアキさんを追いかけていった。
「アキに任せておけ。
アイツは和也がココで潰れたときとかにも何度も来て掃除してるし、勝手は一通り知ってるから。
ほら、お前はこれにくるまって大人しくしてろ。」
清四郎は再びタオルケットで俺を包んでソファで膝枕をしてくれた。
それから優しく一定のリズムで頭を撫でてくれる。
ダメだと分かっていても、心地よい睡魔が俺を包んでいく。
「んで、どうすんだよ。
お前のことだから、とことんやり返すんだろ??」
「あたりめぇだろーが。
東藤グループを潰す。」
「わお、出たよビッグマウス。
でも、今回はさすがに相手もやりすぎだしな。」
「写真の出所は分かったのか??」
「ああ。
一番乗りでスッパ抜いてた雑誌がこれ、京経スポーツ。
んで、この記事書いた浅田満(あさだ みつる)ってやつが盗撮した犯人で、あの女の元恋人って訳。」
和也さんはその雑誌と浅田満って人の顔写真をペラペラと清四郎に見せた。
清四郎は雑誌の写真とテラスの窓の方を交互に見ながら何か考えている。
しかし、その間も右手は優しく俺を撫でてくれていた。
「超望遠レンズカメラだな。
この部屋をこの角度で撮れんのは…階数からいって限られる。
そもそも、あの窓の方角でこのマンションと同じくらいの高さで、あの女の息がかかるところっていったら…1つしかねぇ。」
「東藤グループ本社…だよねー(笑)」
怖いくらいに息がぴったりで、怖いくらいにカッコいい二人、でもやっぱり怖い。
何を考えてるかわからないけど二人の目の奥はギラギラと光っている。
「あんまり目をギラつかせないで二人とも。
秀君が怖がってるわよ。」
アキさんがコーヒーを3つと、カフェオレを1つテーブルに置いた。
「アキさん…。」
「あら、可愛い。
よっぽど二人の顔が怖かったのねー(笑)」
一瞬で空気が変わった。
柔らかくなった。
知らず知らずのうちに体が強ばっていたみたいで、カフェオレの甘い匂いを嗅ぐとスッと力が抜けていった。
すごいなぁ…この人。
「そんなに怖いか、俺達。」
「怖いのは清四郎だけだろ??」
「どっちもよ。
さぁさぁ、コーヒー飲んで一息つきましょ??
秀君も、カフェオレでよかった??」
「あ、はい…ありがとうございます。」
俺は清四郎の手を借りながらゆっくり起き上がり、そのまま清四郎に寄りかかりながらアキさんの淹れてくれたカフェオレをゆっくり飲んだ。
「温かいモノを飲むと落ち着くでしょ??
きっと緊張で手足が冷たくなってるから、ゆっくり飲んで温まんなさい。」
ニコッと笑ってくれるアキさん。
俺にお姉ちゃんがいたらこんな感じなのかな??
「さすがアキ、俺の彼女。」
「姉さん女房だな。」
「え、アキさんって和也さんより歳上なんですか??」
「そ、俺より4つ上。」
「うっさい、人の歳ばらさないで。」
「全然見えないです、俺、和也さんと同じか下だと思ってました。」
「あらあら、誰かさんと違って本当に可愛い子。」
「誰かさんって誰だよ。」
「お前だろ、和也。」
「そーよっ。」
アキさんは料理も上手で、俺のために煮込みうどんを作ってくれた。
味噌ベースのホッとできる味。
いつもこんな美味しいものを食べられる和也さんは幸せだと思った。
ご飯を食べながらでも清四郎と和也さんはいろいろと話し込んでいる。
「どう攻めんだー??」
「ジワジワ追い詰める。
とりあえず、東藤グループのことをもう少し調べよう。
叩けばいくらでもホコリが出てくるハズだろ。」
「俺の知り合いの私立探偵使って調べてこーぜ。」
「頼む。」
「私は何すればいい??」
「アキはあの女個人のスキャンダルを掴んで欲しい。
東藤グループを揺するにはそれが一番だからな。」
「オーケーっ。」
「それと…女の目線で秀のことをサポートしてやって欲しい…。」
「それは当たり前よ。
あなたに言われなくてもそうするつもりだから。」
「アキさん…………。」
「お母さん代わりにでも、お姉さん代わりにでもなってあげるから、安心してね。
皆、秀君の味方だからね。」
そのアキさんの言葉に和也さんも清四郎も頷いて、3人が優しく笑いかけてくれた。
今日会ったばかりなはずなのに、どうしてこんなに優しいんだろうか。
ピンポーン
今日何度目かのチャイムが鳴った。
この音が壊れていく合図だったのかもしれない…。
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