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崩壊
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内開きの扉の向こうに立っていたのはーー高支那だった。
タケルは大きく目を見開きその顔を見つめた。
「…たかーー」
名を言いかけたが、目の前に何かを投げて寄越され、一瞬怪訝そうに視線を落とす。
足元に転がっていたのは、防寒服と防寒靴だった。
「もうすぐ夜が明ける。目の前の橋を渡った右手に谷に降りる階段がある。そこを降りたら手造りのトンネルが見える。そのトンネルを抜けたら車道に出られるはずだ」
淡々とした説明。
ここへ来る時、高支那は外と繋がる唯一の吊り橋を壊し、この城は陸の孤島と化したと言った。
今の説明を聞くかぎり、それは嘘だったということになるのかーー。
だが、タケルには考える余裕はなかった。
高支那が、また扉を閉めようとしたからだ。
タケルは素早く反応し、閉まろうとする扉に強引に体当たりをした。
そしてーー
そのまま高支那の胸に飛び込んだのだった。
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