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死神先生、会合に呼ばれる【2】
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見上げると首が痛くなるほど大きな屋敷に、コハクはしばらく唖然としていた。
「豪邸だ…」
「彼は大きな家の出身らしいからね」
人外会議当日の朝、2人は血まみれ先生の家…というか大きな洋館の目の前に立っていた。コハクは裏の国に迷い込んだ時に着ていた制服に身を包んでいる。普段着は死神先生が見繕ってきた服を着ていたが、外に出る時は癖で制服に袖を通していた。
「先生、俺…」
「緊張するかい?」
「…うん」
「大丈夫だよ。彼らは君を襲ったり蔑んだりしないさ」
死神先生はコハクの頭を優しく撫でて、門のベルを鳴らした。するとすぐに門が開き、頭に黒いベールを被った使用人が深々と礼をしていた。
「お待ちしておりました。死神様とコハク様ですね。ご案内致します」
「ありがとう」
「……」
緊張で黙りこくってしまったコハクを目を細めて見守りながら、死神先生は牛頭の後をついて行った。
広い玄関の先には、豪華なシャンデリアや絵画が飾られており、どれも綺麗に手入れされていた。
「死神先生、おはようございます」
「血まみれ先生、今日はよろしくお願いします」
「はい、お任せください。…そちらがコハクくんですか?」
「えぇ…コハク、今日お世話になる…えっと…」
「『血まみれ先生』で良いですよ」
清潔感のある白いシャツに黒いベスト、そして細工の凝った髪留めで緩く髪の毛を結んだ男がコハクににっこりと微笑んだ。
「血まみれ先生…」
「はい。よろしくお願いしますね、コハクくん」
軽く自己紹介を済ませて、血まみれ先生は牛頭と一緒に2人を2階へと連れていった。血まみれ先生が木製の扉を開けると、窓の傍に体操座りして外を眺める少年がいた。
「ほら、クロ。お客様だよ」
血まみれ先生の呼び掛けに、軽く振り返り、死神先生とコハクを一瞥したクロは「どーも」と呟くと、また窓の外に目を移す。
「すみません。躾がなってなくて」
「いえ、お気になさらず。コハク、彼がクロくんだよ。仲良くね」
「う、うん…」
解れてきた緊張が再び背筋を駆けるのを感じたコハクは、思わず生唾を飲み込んだ。その様子を見た死神先生は、少し心配になる。
「では、そろそろ行きましょうか。死神先生」
「あ、えぇ、そうですね。……それじゃあ、よろしくお願いしますね。また、夕方迎えにくるよ。コハク」
「分かった…」
そう言いつつもなかなか死神先生のコートを離さないコハクに、いよいよ死神先生の心配は最高潮に達した。
「行ってくるね〜クロ!」
「そのまま二度と帰ってくんな、死ね」
「……夕飯抜き」
「行ってらっしゃいませご主人様ー」
クロのあからさまな棒読みの送り言葉に、コハクは少しだけ笑う。その笑顔ひとつで、死神先生の不安は一気に消え去った。
2人が会議に出かけて、屋敷を出ていってからしばらくの間、クロは窓の外を眺め続けていた。
「それでは、クロ様、コハク様。何かあればベルでお呼びください」
「…ん」
「あ、ありがとうございます…」
そう言って牛頭も部屋から出ていくと、長い沈黙が始まる。
コハクはどうして良いか分からず、ただそわそわとテーブルの周りを行ったり来たりしていた。
すると、突然、クロが立ち上がる。
「よし、見えなくなったな!」
「うぁ?!」
「…あぁ、悪い。あいつが門を出てから姿が見えなくなるまで安心出来ねぇから」
「えっと…?」
「いいよ。気にしなくて」
コハクはクロが立ち上がったことで気がついたが、クロはパジャマの上だけを着ているように見えた。
「あ、あの…君、服は…」
「なんだよ。……変態」
そう言いながら、クロは自身の服をぺらりとめくった。何も身につけていない下半身が顕になり、コハクは目を白黒させた。
「わぁあ?!何でいきなり?!」
「お前が服がどーだの言うからだろ?俺はここではあいつのペットなんだよ。…犬とか猫はふつー服とか着ねぇだろうが」
「……そんな…」
「俺なんかまだマシな方だ。あんたも気をつけろよ。この国には俺たち人間を守る法もモラルもねぇぞ」
「………」
鋭い目付きではっきりと言われ、コハクは俯いて黙ってしまった。
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