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言われれば、確かに <Side 犬養
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帰り時を失った九良と俺。
話の決着に、九良が約束通り、夕飯を作った。
ダイニングテーブルに並べられた4人前のオムライスに、それぞれ箸をつけた。
「オレも出来るコトがあれば、お前らの力になるよ…」
男らしく笑む九良に、懐里が惚れてしまいそうで、少し怖い。
運命だと言われても、人の心など、わからない。
現に、運命とは関係ない幸理は、懐里を好きで、懐里も今は、幸理が好きだ。
いつ、心が変わるかなんて、誰にもわからない……。
不安げな雰囲気が拭えない懐里の頭に伸びそうになる九良の手首を、思わず掴んだ。
驚いたような九良の瞳が、俺に向く。
「俺も、……って、役に立つかわかんないけど、…でも、手伝いますっ」
焦り声を放つ俺に、九良は、にたりと笑んだ。
「何だ? 嫉妬か? ヤキモチか?」
揶揄うように紡がれる九良の言葉に、俺は、桃色に染まる頬のままに、瞳を逃がす。
「止めなよ。犬養くんが可哀想だろ……」
こちらを見やりもせず、オムライスを口許へと運びながら、冷めたように紡がれる幸理の声。
「心配しなくても、大丈夫だよ。運命は変えられないから」
俺を安心させようと放たれた幸理の声には、諦めるような音が混じる。
寂しげな雰囲気を含む幸理の声色に、懐里が心配そうな瞳を向けた。
その視線に気づいた幸理は、困ったような笑みを浮かべる。
「懐里のコトじゃない。玄弥と犬養くんは、お互いに惹かれ合って、運命の相手と出会った。そんな2人が簡単に心変わりするわけないだろ……?」
そうでしょ? と納得させるように瞳が語る。
懐里は、少し悲しそうな色を浮かべながらも、視線を皿へと戻した。
少しの沈黙を挟み、幸理が口を開く。
「高校生ってコトは、賢理と……?」
「そ。クラスメイトで、親友ってとこか?」
九良の半疑問形の問いかけに、俺の頭には、疑問符が浮かぶ。
「賢理って、たかっち?」
首を捻る俺に、九良は、そうだと声を返した。
「あ、うん。親友は親友だけど……?」
ちらりと幸理へと視線を向ける俺に、九良も瞳を向け、口を開いた。
「あー。こいつ、幸理は、近衛の兄貴だよ。姓は違うけど、実兄」
ぱしぱしと盛大に瞳を瞬いた。
言われれば、確かに似ている。
気の強そうな目許とか、たまに見える八重歯とか…。
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