アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
受験騒動…?
-
.
お昼休み。
開け放たれた窓から窓へと、涼しい風が教室を駆ける頃。
「 良介ー 」
黒ふちのメガネの彼が、俺ににやにやとした表情を浮かべながら教室のドア越しに話しかけた。
「 どうしたの、二星。入っていいよ 」
「 良介さ、ここの資料のことなんだけど__ 」
そう言って、次の生徒会が考えているイベントの資料を差し出してきた。
「 あ、ここ誤字ってるよ。あとここ、二星が考えたでしょ。いいじゃん 」
太陽を背に、へへへと笑う良介。
かわいいな。
俺は、良介が好きだ。
この高校に入った、初期の頃。俺は高校を休みがちだったんだ。
いじめが理由で。
だけど。
その時はまだクラス委員だった良介が、俺の家を度々訪問してくれて。
初めての、「同級生の友達」になってくれた。
そこから、ゆっくりと登校して行って今は沢山友達が出来たし、一緒に生徒会にも入れた。
だから。
「 良介…ありがとうな 」
「 うん?別にどうってことねぇよ 」
「 …じゃあ、誤字直してくる 」
良介からプリントを受け取る。
「 おう。な、二星。お前、さ。どこの大学行くんだ? 」
「 ___え 」
その質問によって、心臓がビクついた気がする。
「 ほら、もう高3の夏だろ?そろそろ、勉強も頑張んなきゃいけねえ時期じゃん?そんで目標の大学どこなのかなって 」
「 …っ、俺は、__ 」
口ごもっている様子の俺を見て、良介が口を開く。
「 決まってねぇのか?あー…そうか、お前水波上大学行きたいって言ってたもんな。頑張れよ 」
水波上大学。
この高校の付属大学であって、エスカレーター式に行ける大学。
偏差値こそそこまで高くないが、この水波上高校を卒業した仲間と一緒に居られるので、ほとんどの人はその大学に行くのであろう。
「 うん、もちろん良介も、水波上大学___ 」
良介の言葉が、俺の言葉を追い越す。
「 俺ね、美術専攻行きたいんだ 」
「 …美術? 」
「 そう。こないだ風景画のコンクールに絵提出したら、すごい才能だーってすげぇ美術大学の教授から評価されたらしくてさ。推薦貰っちゃっ__ 」
良介の唇を、俺の唇で塞ぐ。
幸い、今日はグラウンドの解放日で、教師も生徒も皆そっちに居て教室には俺達誰も居なかった。
「 ……二星…? 」
「 …二星じゃない__隼人って、呼んで 」
良介を、抱き締める。
「 お前、下の名前嫌いだって__ 」
「 いいの…… 」
「 …はやと… 」
「 ねぇ、清川の方が良介はすき?だよね……でも俺もね、好きなんだ…良介のこと…ごめん、ごめんね 」
ぼろぼろと涙がこぼれる。
「 っ、隼人、落ち着け……ごめんな、俺、ずっと気付いてたんだ。隼人が俺のこと好きだって。
…隼人の家に行ってたのだって、最初はクラス委員だからって理由だった。だけど……俺も、昔…隼人のことが、好きだったんだと、思う 」
その言葉に、もっと涙が溢れた。
「 今は清川を優先というか、しちゃってるけど… 」
「 良介……もう一度、だけ……求めちゃ_だめ? 」
「 ……おいで 」
俺にも責任があるから。そう彼は呟いた気がした。
next page ▶▶
.
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
22 / 37