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翌朝、俺が少し寝坊して起きた時には、全てが終わっていた。
俺が寝た後すぐに、アルファムがヴァイスに乗って空を翔けた。
シアンの後を追ってライラの屋敷に行き、罪を問い質した。
開き直っていたライラは、素直に白状したそうだ。
『カナデが現れなかったら、私はアルファム様の王妃になれていたのに!』
『あんなどこの国の人間かもわからない、貧相な奴!どこからともなく現れて、アルファム様を奪って許せない!』
『私は、初めてアルファム様と会った時から好きだったのに。私の方が綺麗なのに、なぜカナデがいいの!髪が黒いだけじゃない!』
『絶対に許さない!カナデのせいで、私は城を追い出されたのよ!カナデさえいなくなれば、今度こそ私は王妃になれる!だから、カナデを消してやるわ。カナデが現れる前の状態に戻すのよ!』
ライラは髪を振り乱して、そんなことを叫び続けていたらしい。
アルファムは、ただ一言、『おまえを愛することは永遠にない。俺が唯一愛するカナデを殺そうとした罪を、償ってもらう』と告げたそうだ。
ライラは、遠く離れた国の端にポツンとある、修道院のような所に行くことになった。
一生をそこで過ごすのか、何年かで戻って来れるのかはわからない。
アルファムは、ライラの父親にライラをしっかりと見張っておくようにと、厳しく言いつけて戻って来た。
そして、なぜあの女の人が、ライラの命令を忠実に聞いたのかがわかった。
女の人の妹が、人質としてライラの元にいたからだった。
どうやらライラは、『カナデを殺さないと妹を殺す』と脅していたらしい。
俺は、なぜかホッとした。
やっぱりあの人は、優しい人だ。
妹と俺なら、妹の命を選んで当然だ。
まあそのせいで俺は死にかけたんだけど、実際のところは助かって今は元気だから、もういいんだ。
あの人が、俺を選ばなくて良かった。
シアンが、ライラの屋敷からあの人の妹を連れ出して、早々に他の貴族の屋敷へ預けたそうだ。
これら全てのことを、俺が起きて食事をした後に、アルファムから聞いた。
これで、俺に危険が及ぶ心配が無くなったと安堵した。
だけど、アルファムの顔が何だか険しい。
「アル…、解決したのに、なんでそんな顔してるの?まだ何かある?」
「ああ。今回のことは解決したが、これからも油断は出来ない。もしかしてライラのように、この国の生まれではないカナを、よく思ってない奴らがまた現れるかもしれない。この城の者は、カナに好感を持っている者がほとんだ。だが、中には腹に一物を持って近づいて来る奴がいるかもしれない…。俺は心配で仕方がない。それに、俺をよく思ってない奴らが、俺の代わりに俺の宝物のカナを、襲うかもしれない。…おまえを失うことが怖くて、そんなことばかりを考えてしまうのだ…」
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