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サッシャの惚気話を聞いて、ほわりと暖かい気持ちのまま部屋に戻ることにした。
「部屋まで送る」とサッシャがついて来ようとするのを頑なに断って、扉を開けて廊下に飛び出た。出たすぐ目の前に、リオが立っていた。
「あれ?何してんの?」
「…俺は、アルファム様にカナデのことを頼まれてるからね。傍を離れないようについて来て、ここで待ってたんだよ」
「あ、ごめん…。じゃあ話も終わったし戻ろう。サッシャ、リオがいるしここでいいよ。また明日」
「わかった。明日は城でゆっくりと過ごして、明後日は馬で出かけようと思うんだけど。いい?」
「えっ。またどこかに連れて行ってくれるの?楽しみにしてる!」
馬でってことは遠出になるのかなぁ…と明後日のことを考えると嬉しくて、俺は足取り軽く部屋へと戻った。
因みに、先程のサッシャとの話は、部屋の外にいたリオには聞こえていない筈だ。
アルファムの部屋の扉が、物理的にも外に音が漏れないように分厚く作られており、その上更に魔法で音が遮断されている。
これは、大事な話を盗み聞きされない為だ、とアルファムから教えてもらった。
そして、各国の城の王族の部屋は、同じような造りになっているとも言っていた。
だから、リオが扉に耳を押し当てていたとしても、聞こえていないと思う。
現に、後ろを歩くリオが「何してたんだよ。長くなかった?」と訝しげに聞いてきた。
「ん?ふふん、幸せな話?」
「は?」
俺は、後ろを向いてそう言うと、ニヤリと笑った。
リオが眉間のシワを深くしていたけど、サッシャが『父王には言ってない』と言う話を、ベラベラと話すわけにはいかない。
まだ何か言いたそうなリオから視線を逸らして、俺は歩く速度を早めた。
翌日は、サッシャに城の中を案内してもらった。
ハマトとばったり会いはしないかとドキドキしたけど、そこはきちんと配慮されていたらしい。
ここにも花が咲いて泉がある庭が、幾つかあった。
俺が鉢植えを買った店にあったような、明るい黄色やオレンジ系の花が多い。見ていると、とても気持ちが明るくなってくる。
だからこの国の人達は、明るい人が多いんだなと、俺は花を見て思った。
そしてその翌日、サッシャと俺、ミケとリオの四人で飛翔馬に乗って出かけた。
厩舎の前の広場から一気に飛び立ち、東へと向かうミケの後に、サッシャ、俺、リオと続く。
炎の国で練習はしたものの、まだ上手く乗り慣れない俺に合わせて、ゆっくりと翔んでいく。
どこへ行くか詳しく聞かされていない俺は、とても楽しみで、テンションが上がりっぱなしだった。
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