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「ん…………っ」
離れたと思ったら、また重なる唇に、少しうろたえる。この前みたいに、一回だけかと思ってた。
何度もキスされて、くらくらする。唇の感触とか、俺を支えてる腕の力強さとかで、頭がいっぱいになる。なんだよ、俺がどんなにせがんでも、してくれなかったくせに。
気持ちいい。
「っ、……」
脚に力が入らなくって、うまく立ってられない。ふらついたら、ようやく唇を離してくれた。
「……早く帰んないと、また怖い目に遭うよ」
耳許でそう囁かれて、ぞくぞくする。
「…………してもいいよ」
「あーそっか。君、そっちかぁ」
脅して帰らせようとでも思ったんだろうか。ヒヤさんは笑う。困ってるのに楽しそうだ。
「えーと、じゃあね…………………次来たときには、もっとすごいことしてあげるから……」
「あ、うん。絶対ね」
「なんちゃって、……え、いや、冗談、」
「やったー」
「あ、いや、あの、」
「じゃあ一週間後ね」
「ちょっと待った、今のは、」
「ばいばーい!」
押しきって、家路を急ぐ。キスされたし、満足だ。さっきまでの変な気持ちは、もうない。林を抜けて石段をおり、住宅街に戻る頃には、すっかり夜の空になっていた。
やばい、怒られるかな。
家の明かりがまぶしい。健全なあたたかさに、後ろめたくなる。迷う前に、玄関を開けて、ただいまと声を発した。
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