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寺まで弟を送り届ける。引っ越してくる人が増えて、子供を預かれる場所が必要になった。いつか地獄の話を聞いたお寺。ふゆより小さい子もいれば、学校が休みだからと遊びに来ている、ふゆの同級生たちもいる。
ばいばい、と手をふって、俺はUターンをせずに、寺を右側にして歩いていく。雑木林。ちらほら、花が咲いている。境内の見事な桜もいいけど、こういうとこにも春を感じる。
埋もれた門は無視して、もう少し歩く。
裏木戸をくぐり抜け、鬱蒼とした茂みに入る。池は整備されて、可愛い変な石像が、こっちを向いて笑っている。ジブリの映画じゃあるまいし。
やがてほったらかしの庭は終わり、次に一面の芝生が現れる。
その鮮やかな黄緑の先に、魔女の家は建っている。
「ヒヤさん」
「うん。………進級おめでとう」
「べつにめでたくないよ。中学なんて、勝手にあがってくんだから」
彼との交流は、途切れることなく続いている。
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