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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
国王の招待5
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「この大馬鹿!! 衣装合わせも終わってねぇ! 式典の最終打ち合わせも終わってねぇ! この状況で何をどう考えたら出奔に繋がるんだ! あぁ!?」
王宮の来賓室らしき場所に連れて来られた少年を待っていたのは、グランデル王国宰相、レクシリア・グラ・ロンターの盛大な罵声だった。いや、正確には、その罵倒は少年ではなく主君に向けられたものであったが。
(も、物凄く怒ってる……)
状況的にこうなるだろうと予想はしていたが、それにしてもレクシリア宰相の怒りは相当なものだった。思わず身を竦めれば、背後から伸びた腕に抱き締められる。
「こらレクシィ、キョウヤが怖がっているではないか」
「怒ってるのは俺の方なんですが、なんで俺が怒られてんですかね国王陛下!? つーかビビらせてんのはお前もじゃねぇか。いきなり触られてびっくりしてるぞそいつ」
「レクシィ、口調はそれで良いのか?」
言われ、レクシリアがはっとした顔をする。すぐさま顔面ににこやかな笑みを張り付けた彼は、軽く咳払いをしてから口を開いた。
「大変失礼致しました。賓客がいらっしゃっているというのに少々取り乱したこと、お詫び申し上げます。お許し頂けますか、キョウヤ様?」
「え、あ、いえ、あの、……こ、こちらこそ、生誕祭の準備でお忙しい中お邪魔してしまい、本当に申し訳ありません」
深々と頭を下げた少年を見て、王が冷たい視線をレクシリアに向けた。
内心このクソ王と思ったレクシリアではあったが、彼は大変優秀な宰相であったため、それを表情に出すことなく、努めて優しい声で少年の名を呼んだ。
「キョウヤ様、どうか顔をお上げください。そもそも貴方のご意志でこちらにいらっしゃった訳ではないと察します。大方我が王が無理矢理お連れしたのでしょう。寧ろこちらこそ大変申し訳ないことを致しました。王に代わり、深く謝罪申し上げます」
そう言って頭を下げてきたレクシリアに、思わず顔を上げた少年があたふたとした様子で口を開く。
「あ、い、いえ、あの、そんな……」
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