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純真メランコリー 63
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部屋中に響く電子音で目が覚めた。
颯斗は手を伸ばし、慌てて枕元の携帯を取る。
止め方が解らず、適当にボタンを押した。
「止まった………」
携帯を見ると、どうやら着信ではなく目覚まし機能が働いたようだった。
時刻を確認する。
「まだ6時前じゃん…。川那辺…休みの日も早起きすんのかよぉ~…」
颯斗だったら、休日はあと2時間は余裕で寝ている。
ふと横を見ると、綾世はまだ寝息をたてている。
こちらも本来ならこの時刻、櫻木家に居る時は、とっくに起きて祖父さんと朝稽古でもしているはずだろう。
けど……やっぱり、今まで随分寝れていなかったのだろう……。
あの目覚まし音でも、起きそうな気配は無い。
体を小さく丸めて……確か、赤ちゃんが母親の胎内でそんな姿勢なんだっけ…?
幹家の3兄弟は、みな大の字で、寝ながらも布団を所狭しと転がり回り、それぞれお互いにパンチやキックの応酬なんだけど…。
綾世は寝姿まで行儀がいいんだな……なんて思ったりして、一人笑ってしまった。
一緒に転がって、しばらく寝ている綾世を観察する。
……考えてみたら、ここまで無防備な綾世を見るのは初めてだ。
颯斗には、随分と心を開いてくれる様にはなったけれど……それでも、まだやっぱり遠慮が感じられる。
もっと、力になりたいのに。
こんな風に無防備な綾世が寄りかかって来ても支えてあげられるように……。
抱えている気がかりごと受け止めて、綾世を安心させてあげられるような…そんな存在になりたい。
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