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「座っていい?」
「うん、座って」
「はあー、もうさ、寝ようとしててほんとそのまま出てきた。寝る格好で」
「練習着と変わんないじゃん」
「まあね」
そう言うと、ヘラッと笑う。
「あと誰が来んの?」
「え?」
思わず思考停止した。
そうだ、そりゃそう思うよな。
なにか、上手いこと言わないと。そう思っても気の利いた事を言えそうになくて。
いっそ、ホントの事。
「誰も来ないんだ? だよねー。こんな時間だし断られたんでしょ。俺、優しくない? 来てあげて」
背もたれにだらんと体を預けて俺を見上げる。
「ああ、だな」
偉そうになんだよって、笑えなくて。曖昧に笑い返した。
「ちょ、なんなの? なんか弱ってる?」
突然強く手首を掴まれる。
「え? なんで?」
「ここ座って、早く」
そう言ってぐいぐい引っ張るから、マクの隣にドサっと座った。
「どうしたの? 大丈夫?」
真顔で俺をじっと見つめる。本当に俺を心配してるみたいな顔。
そんな風に聞かれたら。
あの日からずっと大丈夫なんかじゃない。どんどんおかしくなる自分を止められなくて、理解できなくて。そんな自分が嫌で。
「大丈夫じゃない」
「えっ? なんかあった?」
マクが目を見開いて、俺の手首をギュッと握る。
「や、いや、冗談だよ。なんもない」
そう言って笑い返した。
「もー、なんなの? ホントさっきから変だよジェボミ」
そう言うと、手を離して呆れたように溜息をついた。
「あ、グラス持ってくる」
俺はパッと立ち上がるとキッチンに向かった。
危なかった。またおかしな方向に加速がつく所だった。
家に到着してものの5分で気まずいことになる所だったし。
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