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俊凌 ※凌くんが病弱設定です (シリアスバージョン)
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俊side
言ってしまった。
ついに
にぃちゃんが必死になって隠し続けてきたことを。
俺の口から。
長い沈黙が流れたあと、おもむろににぃちゃんが口を開いた。
『やっぱり、気づいてたんだな。』
「………え?」
衝撃的な返答だった。
てっきりにぃちゃんは、俺が気づいてることを知らないと思ってた。
きっとにぃちゃんは、取り乱すだろうと思ってた。
でもにぃちゃんは、俺が気づいてることを知っていた上で、驚くほどに落ち着いている。
「にぃちゃん………………俺が気づいてること、知ってたの…………?」
俺は思わずそう言っていた。
『…………俺、ずっとお前に隠し続けてきたろ。だから、俊には気づかれてないと思い込んでた。…………でも、心のどこかではわかってたんた。俺とずっと一緒に育ってきた俊が、ずっと俺の隣にいて、過ごしてきた俊が、気づかないわけがないって』
『俺はただ、怖くて逃げてただけなんだ。俊に余命のことを言ってしまったら、俺はもうすぐ死ぬんだって、嫌でも痛感する。辛くて、きっと俊のそばにいられなくなる。それが怖くて…………』
『それならいっそ、俊に言わなければいい。ずっと黙ったまんま、バレないまま死んでいけばいい。そしたら辛い思いをしなくて済む。俊も、俺も。……………………そう…思ったんだ。心配かけないように隠してたなんて、そんなキレイな理由じゃない。』
『でも、隠せば隠すほど、辛かった。俊が心配してくれているのに、ホントは大丈夫じゃないのに、大丈夫って言い続けて、その度に、胸が締め付けられて、痛くて、苦しくて、辛くて……………』
『正直に話したいのに、怖い。でも、隠せば隠すほど、辛さは増していって、それならいっそ、今生きてることに意味を持たない方がいいんじゃないかって。ここ3ヶ月間、動画を撮る時も、編集する時も、ご飯食べる時も、俊と話す時も、パッパやバッバと話す時も、どんなときも、感情を持つのをやめてた。何も考えないようにしてた。それなのに』
『何も変わらなかった。辛かった。そこで俺は、余命宣告をされてから、ずっと隠してきた自分の気持ちに気がついた』
『俺は、生きたい。せっかく俊が、おまじないをかけてくれたのに、もうすぐ死ぬなんて絶対に嫌だ。俊と、ずっと一緒にいたい。ずっと一緒に生きたい!!』
『死にたく、ないよぉ…………俊………』
にぃちゃんは、消え入りそうなほどか細い声でそう告げたあと、疲れた顔をして眠りについた。
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