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~空夜side~
10月8日
「写真撮ろー!」
「次出る人ー!もう行って!」
様々な声が飛び交うグラウンド。
今日は体育祭だ。
次は選抜競技の200m走。
B組男子からは兼、悠平、司が出る。
A組からは新が出るので、空夜は少し前の方に言って見えるように場所を調整した。
「どうしよう?!新を応援しなきゃいけないけどゆうくん出てるんだけど?!」
隣のクラスから聞こえてくる大声。
陸玖のもので間違いない。
「ゆうくんがんばー!」
「はぁ?!お前普通に裏切るじゃん!」
クラスメイトから締められて、陸玖はぐぇっと声を上げた。
A組は赤組で、B組とはチームが違うので完全に敵である。
「恋人は応援したいじゃん!!」
「うるっさ、声でかすぎな。」
「もー諦めようぜ。こいつの篠田好きはどうにもならん。」
(それにしても声が大きい。)
空夜はそう思い苦笑する。
それなりに騒がしい環境下でも、陸玖の声はやけにはっきり聞こえてくる。
「空夜くん!」
「あ、京くんお疲れ!」
前の競技の100m走に出場していた京がクラス待機所に戻ってきた。
「空夜くんは誰の応援するの?」
「えー?そりゃもちろん、B組の3人だよ。かしけんも出るし!」
「笹倉くんは?幼馴染だよね?」
「幼馴染だけど、今日は敵だからね。」
「ふふっ、そっか。じゃあ陸玖くんも応援しないの?」
「うん。陸玖は悠平くん応援してくれるらしいよ。」
「あははっ!本当に篠田くんのこと好きなんだね。」
「好きすぎだよね。俺もドン引きするときある。」
「でもそれだけ一途に人のことを好きってすごいことだよね。」
「それ言ったら京くんもね?」
ぽぽっ、と頬が赤く染まる。
昴流が生徒会の仕事でここにいないのが残念な限りだ。
この顔を見せたい。
「すっ、昴流くんはどの競技出るんだっけ?」
「えー?知ってるでしょー?」
「いやいやっ、俺本当にわかんないんだけど。」
「昴流は騎馬戦と選抜リレーだよ。」
色対抗選抜リレーに昴流と宏樹が選ばれている。
騎馬戦には俊哉と航、選抜リレーには陸玖と航、智陽も出るので空夜としても注目している競技だ。
「そっか。あとは全員競技か。」
「うん。」
学年別全員リレー、学年全員競技、大縄跳びがある。
2年生の学年競技はいかだ流しだ。
女子、男子の順番で連続して行う。男子の上は光樹が乗る。
「騎馬戦と選抜リレーって、野田くんも出るよね?」
「あーうん。そうだね。」
「野田くん、吹奏楽部なのに運動すごくできるんだね。」
「うん、足速い。」
「村田くんも足速いよね。」
「そうだね。うちのクラス足速い人多すぎて目立たないけど、かなり早いよね。」
(……って、ん?)
「2人とも運動できるんだね。」
ニコニコしながら京は言ってくる。
先程からかったからだろうか。
「運動できる男子って女の子にはモテるけど、空夜くんはどう?」
「そりゃ、まあ、かっこいいなとは思うよ?」
空夜は平均レベルなので、できる人はかっこよく見える。
「そっかぁ。」
「……京くん?なんか楽しそうだね?」
「そんなことないよ?」
「昴流だって運動できるじゃん。京くんはどうなの?」
「うーん、実は昴流くんが運動してるところあんまり見たことなくて。授業だと本気出してないよね?」
「あー、あいつ手抜いてるわ。じゃあ、今日たくさん見られるね。」
「ちょっと楽しみかも。」
(えっ、何今の顔可愛いんだが?)
京が時々見せる顔は、正直ずるいと思う。
(なんか、なんていうか、お母さんに似てる。)
恋は時々、空夜たちから見ても可愛いな、と思うような行動を取ったり、表情をしたりすることがある。
京はそれと似たような雰囲気があるのだ。
(お父さんはお母さんのそういうところに弱いけど……昴流はどうなんだろ?そこで落ちたりしないのかな。)
京はいつもはしっかりしていて、女子からも頼られる存在だけれど、昴流にだけ可愛いとなれば。
(宏樹くんは京くんのどこら辺が好きなんだろ?)
その辺はしっかり聞いたことがない。
俊哉に聞いてみればわかるのだろうか。
(ていうか宏樹くんは京くんが昴流のこと好きなの気がついてるのかな?全く察してもいないのかな?)
京の様子を見ていれば察していてもおかしくない。
しかし察していたとしたら修学旅行の班は。
(うーん!!わかんないな……まあ俺は京くんがやりたいことを応援してあげたいから……宏樹くんには申し訳ないけど、昴流と上手くいくように協力したいな。)
200m走が終わり、次は長距離走。
それが終われば2年生の全員競技なので空夜たちも移動を始めた。
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