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学校一の陰キャが学校一の不良に「諸事情あって」ベタ惚れされた話
第12話 授業
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「何やってんだ佐山!遅刻だぞ!」
「す、すいません……」
息も絶え絶え教室に入る。行く度に思うけど、自販機と教室との往復はインドア派には結構辛い。
距離もさながら走る体力もない俺には当然間に合うはずもなく、授業はもう始まっていた。
1時限目は声の大きい国語教師の授業だ。
巷ではゴリラとも呼ばれていて、とても国語教師には見えない。
「沢田……これ」
「お、おう……」
浅い呼吸を繰り返しながら、沢田にコーラの缶を渡す。俺のあまりの息切れっぷりに遅いと怒る気力もないのか、沢田はドン引きたような顔でコーラを受け取った。
「沢田、今は授業中だぞ!」
「ちょっとくらい良いじゃないすか。俺が熱中症になったら責任取れるんすかー?」
「まだ6月だろうが!」
と言いつつ、それ以上は止めなかった。
声が大きいことを除けば案外話の分かる方だし、相手が怒られてものらりくらりとしている沢田だからだろう。
「……佐山」
「?」
ふと声をかけられて、振り返る。名前の関係上すぐ後ろの席なのはいつも煩わしく思っていた。
「……授業遅れるとまでは思ってなかった。悪かっ」
────カシュッ
何かを言いながら、沢田がコーラのプルタブを開けた。
その瞬間。
見事に散りゆく黒い液体。
────そうだ、ここまで来るのに何も考えずひたすら走ったんだった。
驚きのあまり何も言えずにいる間にもコーラは容赦なく沢田の顔面及び肩の辺りにまで降り注ぎ、そして周りにいた俺や他の生徒の制服も少し濡らした。
「……佐山ぁ〜〜〜」
地獄からはい出たような声が、コーラまみれの沢田から漏れる。
「あの、ごめ」
「お前まじ許さねえぞ!!」
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