アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
発情期なんて知らない
-
彰さん、彰さんっ。
触れる唇の熱さに、初めて触れる好きな人の肌に、たまらない気持ちになる。
βとして生きる世界で、この人だけが鮮烈な色を持っていた。外の世界は、βの身では生き残ることができない。だから俺はずっと、この小さな箱庭で生きるのだ。それでも、この人を見ることができるなら、それでいいと思っていた。
だから、こうして触れることができて、俺は。
開いた唇から、するりと彰さんの舌が入り込んできた。息継ぎも苦しいほどに重なる舌に、その甘さに、呼吸もできずにクラクラしてくる。
彰さんは何も言わないまま、俺をベッドの上に押し倒す。あくまで落ち着いた仕草で、俺のシャツのボタンを外していく。
俺は沸騰しそうに熱いのに、彰さんはどこまで経っても冷静で、その差に少しだけ胸が痛んだ。
彰さんは何も言わない。けれどこれは、ただの実験だ。深い意味なんてない。このキスにも、意味なんてないんだ!
彰さんの細くて長い指が、そっと俺の胸の上をかすめる。びくっと体を揺らすと、ふっと彰さんが笑った気配がした。
恥ずかしい、恥ずかしい!
彰さんは俺のことなんて何とも思っていないのに、こんな反応して恥ずかしい!
「ごめ……なさ……」
「何も謝る必要はない。君はただ、楽にしていなさい」
「はい」
あまりの冷静さに、少しだけ怖くなる。
彰さんの手は止まることがなく、俺の胸を何度も撫でて、ピンっと主張し始めている乳首を掴んだ。
「ひっ!」
耐え切れない声が出て、俺はとっさに自分の口を手で押さえる。
しかし、彰さんはそんな俺を許さないとでも言うように手を押えてきた。
なんで?と見上げると、いつもと変わらない瞳がそこにはある。
分からない。
いつもは、これからどんな実験をするのか、きちんと話してくれたのに。
これはなに?
今からすることは、なんなの?
「ミツカ。大丈夫だ。私にすべて任せない」
!
一瞬で、俺の不安なんて吹っ飛んだ。
だって、彰さんは俺の名前を知ってくれていた。研究室で暮らし始めてから一年。彰さんは俺のことなんてどうでもいいと思っていた。
ただの、実験対象のモルモットだって。
でも、モルモットだとしても。
名前を知ってくれていた!
それだけで嬉しくてたまらず、頬を伝う涙を彰さんがぬぐってくれる。その優しい仕草に、自分は大切にされているなんて勘違いしそうになって、急いでぎゅっと目を閉じた。
施設で暮らす中で、何度か想像した。実は俺の性はΩなのだと言われて、彰さんの番になって施設を出て行く夢。
彰さんと一緒に外の世界で、二人で暮らす夢。
それが夢なのだと、今の俺はきちんと分かっている。
俺はβだ。
そして、αである彰さんにはきちんとしたΩの番がいる。
例えこの行為がセックスに似ていたとしても、これはただの実験なのだ。何かの、きっと、何か、俺の知らない、ただの実験なのだ。
「大丈夫。苦しかったら、私の名を呼びなさい」
はい、と俺は頷くと、きゅっと彰さんのシャツを掴んだ。彰さんは満足したように頷くと、俺を安心させるかのようにもう一度触れるだけのキスをしてくれる。
軽い音を立てて唇が離れると、彰さんの舌が俺の首を這う。
そのまま胸へ、先ほど俺が声を出した乳首へと、舌が絡みついた。
「んぅっ」
ぴりぴりと体を走る快感に、耐え切れず俺はしっかりと彰さんのシャツを握りなおす。
男が乳首で感じるなんておかしいという知識はある。でも、今の俺はおかしくなっているから。だから、こうして感じてしまっても仕方ないんだ。
「あき、ら、さんっ」
ぴちゃりといやらしい水音がして、熱い舌が俺の乳首を舐める。そのままじゅっと吸われて、ずくんと股間が重くなった。
「い、やぁっ」
おかしい。
体が熱くてたまらない。膨れ上がった股間は、俺のズボンに染みを作っていく。まるで漏らしてしまったかのようだ。けれど、それを恥ずかしいと俺が思う前に、彰さんは俺の下着に手を入れて、性器を直接刺激してきた。
「まっ……いゃっ!」
今、そんな直接的な刺激はまずい!
しかし、そんな俺の事情を知ることなく、彰さんは容赦なく俺の性器を握り、そのままこすってきた。
「ひっ、だ、めっ!」
とっさに彰さんを見るけれど、その表情はいつものままだ。
怖い。
けれど刺激に体は反応し、びくっと震えて彰さんの手の中に液体を放ってしまう。
「あっ……」
どうしよう。一瞬で熱が下がり、とんでもないことをしてしまったと理解する。
ごめんなさい。謝ろうと彰さんを見ると、なぜか彰さんはそのまま俺の服を脱がせた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 6