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水の呪い10
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(っ、さすがに、ここでこの魔法を使うのは、堪えるものがある……)
剣を握る姿勢は崩れていない。爆風を受けてなお平然と立ち続けていた敵を見据える目から、力が失われることもない。だが、それでも確実に、王は疲弊していた。
僅かに肩で息をしている王に対し、まだまだ余力を残しているらしい女は、心底から楽しそうな表情をした。
「赤の王は軍神と見紛うほどの腕の持ち主、ってぇ聞いてたが、噂に違わぬ力で安心したよ。アタシは魔法が使えないから詳しくは知らないが、中々のことをやってのけたってことくらいは判るぞ。既に火霊と規格外の契約をしたってのに、更に今、自ら魔法を使ったってことは、お前二重契約をしたな? いや、火山へ火を送ってることも考慮すると、三重になるのか? 詳しいことは判らないが、同一精霊との多重契約はそれだけで通常以上の魔力を持ってかれるって聞いたことがある。その上今のデカイのはアレだろ、原初の大魔法ってぇのだ。そんなもん詠唱なしで発動するとくれば、前代未聞だろうな。人間業じゃあない。これほどまでに強い男がいたのかと、アタシは素直に感動してるよ。だが、同時に消費した魔力量も半端じゃない筈だ。……お前の魔力、あとどれだけ残ってるんだろうな?」
にやりと笑った女に、王も笑みを貼り付ける。
「さて、どうだと思う?」
そう返した王だったが、女の指摘は紛れもない事実だ。ただし王の場合、彼女が思っている以上に、適性がそれほど高くはない地霊魔法を発動したことによる魔力消費が激しかった。先ほどの攻撃を連続で受ければ、いかに王と言えども、周囲への被害なしに凌ぐことは不可能だろう。
(だが、私とてまだ余力はある。それに、火霊が手当たり次第に炎を打ち込んでくれたお陰で、随分判ったこともあるしな)
まず、彼女が先ほど放った攻撃だが、あれは恐らくそれなりの時間を掛けて溜めた怨嗟を一度に解放したものだ。故に、そう簡単に連発できるものではない。更に、あれは彼女自身の力ではなく、何かの力を付加したものである。これは、火霊から直接聞いたことだから間違いないだろう。問題は、その何かというのがどういうものであるかだった。
最も可能性として高いのは、何かしらの魔法具を所有しているケースである。そこで一度その可能性に絞り、火霊魔法をひっきりなしにぶつけることで探りを入れたのだが、どうやら王の読みは当たっていたようだ。
(一部だけ、特に火霊魔法の通りが悪い箇所がある。……あの腰の飾り紐の先にある石のようなものが、水の加護と呪いの根源だな)
守護や呪いの強度を引き出しているのは、彼女自身だろう。恐らく、彼女自身が水に愛されやすい性質を持っており、それに呼応して水の守りと呪いの力が付与されているのだ。更に、そこに人外の力が加わることによって、これほどの脅威として立ちはだかっているのである。
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