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窮地15
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「わ、わ、たしは、元々、魔導が使えなくて、でも、ウロ様が、実験に付き合ってくれたら、魔物との魔導契約を、結ばせてくれるって、」
「ふぅん、またここでもウロ様か。でも丁度良いや。これも絶対に訊かなきゃなって思ってたんだけど、……ウロって名前のあれ、一体何なの?」
言われ、アンネローゼは困惑の表情を浮かべた。
「……え? あ……、えっと、ウ、ウロ様、は、十年くらい前に、帝国に来て、魔導のこと、とってもお詳しくて、力を、貸してくれるって、」
ぽつりぽつりと語られる話に、しかしヨアンは僅かに苛立ったような顔をして首を横に振った。
「そういう話はいらない。そんなことより、あれが一体何なのかを教えて。…………あれ、人間じゃないよね?」
そう言ったヨアンに、アンネローゼは更に困惑したような表情を浮かべた。どうやら彼女は、ウロという人物についても詳しくは知らないようである。
「……はぁ。ほんっとに何にも知らないんだね、あんた。もう良いよ。じゃああんたが付き合った実験ってどんなんだったの?」
「そ、それ、は……、」
やはり狼狽えたように視線を泳がせた彼女に、ヨアンがすっと目を細める。敢えて口に出すことはなかったが、選択肢は与えないという彼の意図はアンネローゼに伝わったらしく、彼女は僅かな躊躇いを見せた後、それでも恐る恐るといった風に口を開いた。そして、震える唇が言葉を紡ごうとした、そのとき――、
「っ!?」
突如として目の前で起こったそれに、ヨアンは思わず息を飲んだ。何の前触れもなく、アンネローゼの口がさっくりと横に割けたのだ。そしてそのまま大きく開いた彼女の口は、ぶちぶちと音を立てて裏返り始めた。
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