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お茶会4
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「ロステアール王、ようこそお越しくださいました」
立ち上がった金の王が、胸に片手を当て、赤の王に向かって軽く会釈する。
「こちらこそ、お招き感謝する。少々遅れてしまったようで、申し訳ないことをした」
「いえ、お陰さまでキョウヤさんと少しお話することもできましたから」
そう言ってギルヴィスは微笑んだが、実際は少年が緊張しっぱなしだったせいでろくに会話などできていない。
「それは良かった。ギルヴィス王とキョウヤは年が近いからな。会話も弾んだことだろう」
(何言ってんだろうこの人……)
はっはっはっ、と呑気に笑う赤の王に、少年は思わずそう思った。確かに歳は近いと言えなくもないのかもしれないが、それ以前に身分がまったく近くない。それでどうして会話が弾むと思うのだろうか。
ちらりとギルヴィスに目をやれば、案の定彼もやや困ったような微笑みを浮かべている。
「ああそうだ、今日はもう一人連れて来ていてな。現在グランデルの賓客として迎え入れているスオウ殿だ」
そう言った赤の王の背後、やや離れた場所に居たのは、三日前にグランデル王国を強襲したあの女性だった。そして、王宮庭園を物珍しそうに眺めている彼女の姿を視認した瞬間、少年は珍しく驚きを表情に出した。
「お、お師匠様!?」
滅多にない少年の大きな声に、赤の王と金の王がやや目を開く。そんな中、少年へと顔を向けた蘇芳は、へぇと声を洩らした。
「金の国の天ヶ谷鏡哉っつってたからもしやとは思ったが、やっぱりお前だったか。暫く見ない内に図体だけはまあまあ成長したな」
そう言いながらすたすたとやってきた蘇芳が、国王二人に許可を取ることなく椅子を引いて着席する。そしてそのまま彼女は、テーブルの上の焼き菓子を掴んで無造作に口に放り込んだ。
「え、あ、あの、お師匠様、ちょっと、ぶ、無礼なの、では、」
「あぁ? 良いんだよ。アタシは賓客だからな。接待される謂れはあっても怒られる謂れはない」
やはり自分で勝手に紅茶を注いでぐいっと飲んだ彼女は、ギルヴィスに向かってティーカップを振った。
「紅茶も悪くはないんだが、酒の方が良いな。用意してくれ」
不遜が過ぎる態度に、さすがのギルヴィスも一瞬呆気に取られてしまったが、それでもさすがは一国の王といったところだろうか。彼はすぐに柔らかい微笑みを浮かべて卓上のベルを鳴らし、やってきた侍女に上質な酒を用意するようにと告げた。
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