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今日は待ちに待った日曜日だ。
浮かれているのを使用人に悟られないよう、身なりを正し、いつもより多めに香りを吹きかけた。自家の馬車は舞踏会へ赴くかのごとく、チリ一つ見当たらぬほど磨かせ、ピカピカにした。
使用人たちは流石に主人の変化に気づいてはいたが、とやかく言うつもりは毛ほどもない。一度心を閉ざした主人が一目でわかるように心を躍らせている。それが何であれ、嬉しいことには変わりない。彼らはそっと見守るつもりでいるのだ。
「そろそろ出ようか。」
エドガーは御者に声をかけ、馬車を出した。
先週の日曜日からずっと、今日を楽しみにしてきた。この一週間は、長らく現れなかった感情が一気にやってきて、まるで幼い頃に戻ったような気分だった。今にも愉快に踊り出しそうな気分である。それと同時に、その気持ちを鎮める理性が、ぐっと気持ちを抑え込み、口から感情が出そうになるのを繰り返した一週間だった。
いつもは長く感じるオペラ座への道も、少女のことを考えていると一瞬だった。
「人を連れてくる。ここで待っていてくれ。」
馬車が止まると、御者にそう声をかけ少女を探しに降りた。
相変わらず、オペラ座前は混雑している。カラフルな紳士淑女が行き交う中、少女と約束した場所に向かった。
「ボンジュール、マドモワゼル。お待たせしたね。」
少女は変わりなく、大きな帽子を被りみすぼらしいワンピースを着ていた。
エドガーは挨拶とともに、少女の頬にキスをした。
「ぼ、ボンジュール!ロベール様。待たせたなんてとんでもない…!本日はどうぞよろしくお願いいたします。」
少女もややぎこちなくであったが、頬にキスを返してくれた。
「行こうか。馬車を停めてある。」
「はい。」
緊張している少女に先立ち、馬車まで連れて行く。
馬車に着くと、御者は少々驚いた表情を見せたが、何も言わなかった。
「足元気をつけて。」
「すみません、ありがとうございます。」
手を差し伸べ、少女が乗ったのを確認すると、エドガーは少女の向かいに座った。御者は主人が乗り込んだのを見届け、ゆっくりと馬車を走らせた。
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