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おまえが
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俺は真ちゃんの病室で、事情を説明していた。
先輩たちにはもう説明した。
真ちゃんを傷つけたことは怒られたけど、許してくれた。
だから、今度は真ちゃんに話さないと。
俺とテッちゃんやマコ兄の関係性。
テッちゃんのあの事件のこと。
俺が真ちゃんを傷つけた訳。
全部全部話した。
嘘偽りなく。
すべての真実を、事細かく話した。
途中からなぜか涙が溢れてきて、止まらなくて言葉を詰まらせた。
話し終えたとき、真ちゃんは真っ青だった。
「では、黒子はホントに、なにもしていなかった? むしろ、被害者だった……?」
「そうだよ。テッちゃんはキセキが大好きだったもん。ずっと、信じてたって言ってた。僕は影だから、光を守らないとって。僕が全部、背負うからって……」
つくづく、テッちゃんは欲がないと思う。
というか、自分のことに関心がなさすぎるんだ。
もう少し、自分を大事にすればいいんだ。
じゃないと、こうやって周りを泣かせることになる。
「俺……たちは……」
真ちゃんは茫然としていた。
自分の犯した罪を、認識したからだろうか。
「なぁ、真ちゃん。どうして、俺を庇ったんだ?」
「信じたかったからなのだよ。高尾を」
「だから、なんで! テッちゃんのことは信じなかったくせに!」
「だからこそなのだよ!」
「………………は?」
真ちゃんの言葉に、思考がフリーズする。
なに? どういう意味だよ、それ。
「俺は黒子を信じなかった。その結果、あいつはあんな姿になった。裏切り者とはいえ、あんな姿にされるとは思わなかったのだよ。もし、高尾が裏切り者だとして、それを俺が言って、高尾がイジメられたらと、黒子同様の姿にされるのかと思うと、怖くて仕方なかったのだよ」
そう言うと、真ちゃんは涙を流しながら俺を見る。
そして、続けた。
「俺は……おまえが、……高尾が好きなのだよ」
抱き締められて、俺自身も気持ちに気づく。
あ、そうか俺、真ちゃんが好きだったんだ。
だから、テッちゃんの話を聞いて、怖くなったんだ。
自分も捨てられるんじゃないかと、怖くなったんだ。
怖くて、真ちゃんをなくさないために、あえて傷つけた。
うわぁ、俺相当自分勝手じゃん。
テッちゃんのためとかって、俺のためじゃんねぇ。
あはははは……。
でも、気づけた。
それでいいかな。
マコ兄とテッちゃんには謝りにいかないとね。
俺だけ、幸せになるのは、ちょっと罪悪感あるしね。
「俺も……好きだよ。真ちゃん」
男子高校生ふたりが病室で抱きあいながら大号泣なんて滑稽なことを、俺たちは二時間くらい行うと、少しだけ笑いあった。
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