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Encounter
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「ユキくん。今日のお客さまは新規だけど今後太客になるだろうからしっかり捕まえて来てね」
「はい」
出勤間際、相変わらずにやついた島木さんがそう言った。
初めてのお客さまか。いやだな。また新しい人に体を明け渡すのが嫌だ。これ以上汚れてしまったら俺はどうなってしまうんだろう。真っ黒になって、闇に消えてしまうんじゃないだろうか。
「はぁ…考えたって仕方ないんだし。やらなきゃ」
重い足取りでいつものホテルに向かい、いつもの部屋の扉を開ける。高級なホテル。ふかふかの絨毯や綺麗な装飾品。出来れば、こんな仕事じゃない時に泊まってみたいと思う。
「…やば。あんまり時間ないし」
いつもよりもたもた歩いてきたせいで準備をする時間があまり無い。
俺達にはお客さまが来る前にやっておかなければならない幾つかの決まりがあった。まず後ろを綺麗にしておくこと、それとお客さまの名前をしっかり覚えておくこと。ほかにも小さな準備がいくつかマニュアルで決められていて、それを厳守しなくてはならない。
人の名前を覚えるのが苦手な俺がやっと名前を覚えた頃、お客さまはやってくる。ほら、今日もそうだ。コンコンコンと控えめなノックの音のあとに、失礼するよと言ってお客さまが姿を現した。
「はじめまして。椎葉さん」
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