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ずっと守ってあげる。
そう言ったのに、甲斐殿はなかなか信じてくれない。
ITの力を駆使すれば、例え離れ離れになったとしても、必ず再会することができる。
だから、あれを渡したのに。
中島は甲斐とのやりとりを思い出してため息をついた。
『や、実際にバンバン撃つのは、ちょっと・・・。』
あんまり乗り気じゃなくて、悲しかった。
多分、一回行ったら好きになる。
中島は確信があった。
ゲームの中では、先陣を切って制圧に向かう甲斐殿なのだ。
参謀役はわたしで、もう何年も一緒にやってきている。
考え方も、性格も、それなりに把握していた。
だから誘ったのだ。
なのに、ここ一か月、ゲームにインしてくることが少なくなってしまった。
甲斐殿に何があったのか、二週間前に確認してみたが、忙しいの一点張りで理由が掴めなかったけど・・・!
まさか、新しいバディを見つけていたなんて!!
嫉妬で焼け焦げるかと思った。
夜や週末にやる時空を超えたバトルは、甲斐殿と一緒でなければつまらない。
なのに・・・ッ!
悲しくて、泣きそうになった。
辛くて、叫びそうになった。
でも、さっきは一緒に基地に戻ろうと言ってくれた。
そのことを信じるしかない。
サバイバルゲームは無理強いしないことにする。
これ以上、心の距離が離れるのは辛くなるからだ。
「甲斐殿・・・っ。」
あんな乱暴なヤツがバディなんて認めない!
コンビニで一緒になった新バディは、見るからに危ないヤツだった。
唇を噛み締めながら、甲斐殿のアパートの扉を静かに開けた。
・・・え。
メガネを一度取って、目を擦った。
・・・いま、変態が居なかった?
中島は、メガネを掛け直して、もう一度奥の部屋を見た。
ええ?!
思わず両手で口を押さえた。
そこには、黒いまわしをつけた変態がこちらにお尻をフリフリしながらクローゼットに頭を突っ込んでいたからだ。
うそ。
・・・これ、絶対に変態だ。
甲斐殿は、こいつに狙われていたからゲームにイン出来なかったのかもしれない。
「・・・やべーな、ねぇぞ。」
なにが!!
「一個もねぇ・・・。」
いやこいつ、強盗かも!!
甲斐殿の財産を奪う目的で侵入したヤツだ!!
ぎゅっと拳を握りしめた。
産まれてから一回も誰かを殴ったりなんかしたことがない。
ないけど、ないけど!!
甲斐殿を守ると決めた。
サバイバルゲームのつもりでの宣言だったけれど、いまはマジホントの格闘技戦だ。
格闘ゲーなんてやったことはないけれど、いま守らずしてどうする!!
周囲を見渡すと、靴べらが置いてあった。
音を立てないように慎重に取り上げると、中島はゆっくりと靴を脱いだ。
「家着(いえぎ)ってコレなん?マジやべーわ。」
胃液?!
中島の頭の中で緑色の胃液を吐くモンスターが浮かんだ。
いやいや、大丈夫。
相手はただの変態、わたしはやれる!
中島は靴べらを握りしめたまま、変態の後ろに立った。
先手必勝ッ!!
「喰らえッ!」
そうして中島の渾身の一発が、富永の背中に振り下ろされた。
・・・ぽふっ!
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