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Mの目星。
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「…ところで――
貴女に俺の情報を売ったらしいその“M”と言うのは…」
信が二杯目の日本酒を一口啜り…
姫島の様子を伺う様な視線をチラリと向ける…
すると姫島はわざとらしい笑みを浮かべながら驚いた様子を見せ…
「あらやだ私ったら……うっかり口を滑らせてしまったわ!
ホントやぁ~ねぇ~…好みの男の前だとつい口が緩くなっちゃって…」
「フフッ…」と笑いながら姫島も酒を呷り…
信に熱っぽい視線を向けながらその口を開く
「なぁ~にぃ~?斎賀さ~ん……Mの事が気になるのぉ~?」
「ッ、そりゃあ――まあ…?」
「フフッ…いいわ。だったら特別に教えてあげる…
そうねぇ~…Mっていうのはそう…
情報屋と言うよりかはブローカー…といったところかしら…?」
「ブローカー…?」
「ええそう……裏社会を暗躍する闇のブローカー…
M本人が直接依頼を受けるのではなく
“その依頼を達成する為の手段を依頼人に提供する”――みたいな…?」
「…では――俺の情報はM本人からではなく別の誰かから…?」
「いいえ?貴方の情報はM本人から仕入れたものよ。
だって仲介料を取られなかったもの…」
「――そうですか…」
―――だとしたらやはりMは俺の知る人物か…
誰だ…?
「…それにしても……姫島さんは随分とそのMとやらにお詳しいようですね…」
「あら…そんな事ないわよ。
まだ仕事を依頼するようになってから一年も経ってないんじゃないかしら…?
何よりM本人とはまだ一度も会った事はないし…
それよりも悔やまれるのが、もっと早くにMの事を知っていたら
貴方の情報も“私のコレクション”ももっとスムーズかつ
スマートな手段で手に入れる事が出来ていたでしょうに…惜しいわ~…」
「コレクション?」
「!あらやだ私ったらまた口が…
そう…実は私…数年前から“あるモノ”をコレクションしているのだけれど…
そのコレクションというのがまた中々リスキーな代物でね。
それでもっとリスクの少ない手段で手に入れる方法はないかと探っていたら
Mの存在を知ったのよ…
“貴方のその欲望を叶える手助けをいたします。”ってね。ウフフ…
お陰で私の美しいコレクション達も大分潤ってきたわ。」
「そ…、そうなんですか…」
ねっとりとした不気味な笑みを浮かべる姫野に
信は若干引き気味な笑みを浮かべながら考えを整理し始める
―――姫島のコレクションとやらが何なのか…
少し気になるところではあるが――まあいい。
とりあえずここまでの話を纏めるとMは本来なら仲介役で――
直接依頼を受ける事は無いと…
そして例外として姫野に直接俺の情報を売ったのは
恐らくM自身が俺とは面識があり…
ある程度俺の情報を持っていたから仲介役をたてる必要がなかった。
そんなところか。
「………」
信はお猪口に注がれた酒に映る自分の顔を見ながら眉間に皺を寄せる…
―――しかし誰だ…?
俺と面識があり…
葵を俺の弟(偽装とは知らない?)と認識している人物…
とりあえず身近なところで思い浮かぶのは久米の親父と片瀬だが――
親父も片瀬も葵が俺の弟では無い事を知っているから除外していいだろう…
何よりこの二人がMのフリをして俺を売る理由がないしな。
ついで忠坊ちゃんと智美お嬢さんだが――彼らも除外していいだろう…
後は――誰だ…?
親父の側近である井上さんと俺の補佐である河野は
例の一件で葵とは面識はあるものの、葵を俺の弟として紹介した覚えはないし…
だとすると他に思い当たるのは――
仁と誠さん…?
いやでもあの二人は俺に弟が居ない事くらい知っているし…
ん~~~?誰だ…??まったく思い浮かばんぞ…
俺と面識があり……葵を弟だと思っているヤツ何て他に――
『!…おや…これはこれは若頭…
こんなところでお会いするなんて…奇遇ですなぁ~…』
「ッ…!」
―――待て。
信の脳裏に…過去に起きたある一場面が過る…
『―――――さん…お久しぶりです…
貴方も――“久米さん”に呼ばれて…?』
『!…まあ…そんなところです…
ところで――そちらの方は…?』
『…ッこれは弟の葵です。
葵、挨拶を…』
『っは…初めまして…弟の葵です…』
『ふん……これはまた――随分と綺麗な弟さんですねぇ~…
初めまして葵さん…
それにしても初耳ですよ。
貴方にこんな綺麗な弟さんがいらしたなんて…
今度是非…お兄さんを含めた三人でお食事でも…』
―――居たわ。もう一人…
俺と面識どころか因縁があって……葵を弟だと思っているヤツが…
酒に映る信の顔が更に険しくなる
―――御手洗 壮一(みたらい そういち)…
まさかコイツが―――Mなのか…?
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