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買い物。
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「え……買い物に行きたい…?」
仁が同居するようになってからおよそ一週間が過ぎ…
最初のうちは何かと張り合っていた葵と仁だったが――
仕事の都合上あまり家に帰れない仁のおかげか
葵の方もあまり仁の事を気にかけなくなり始めたそんなある日…
傷口の抜糸の為――昇竜会が懇意にしている病院を訪れていた信の元に
葵から電話が入り…
『うん……ダメ…?』
「や…駄目ではないが……一体どこに買い物に行く気なんだ?」
『あ!あのね?
今日〇〇地区にオープンしたっていう巨大ショッピングモールに
行ってみたいかなぁ~…なんて…』
「!ああ…あそこか…
結構話題になってたもんな。あのショッピングモール…」
『そう、そこ!
しかもオープン初日の今日は来場者全員に記念品が配られるんだよ!?
お得じゃない?!』
「記念品つったってお前…
どーせラップとか醤油とそんなんだろ?あんまいらな…」
『…タオルかもよ?』
「…いや、どっちにしろいらねーわ…」
―――だったら醤油とかの調味料の方がまだマシ。
信は内心苦笑を浮かべながら、記念品を無邪気に予想する葵の言葉に耳を傾ける
『兎に角そのショッピングモールに行ってみたいんだけど…』
「ん…別に行ってきて構わないぞ?」
『ホントっ?!』
「あぁ…ただし片瀬は必ず連れて行く事。
それと昨日俺が渡した改良型“ec+”を積んだスマホと――」
『“指輪”……でしょ?大丈夫。貰った時から肌身離さずずっと着けてるよ…
嬉しいから…』
「…そう言ってもらえると贈った俺も嬉しいが…
でも…気にならないか?GPSついてるの…」
『フフッ…全然!だって信とお揃いだし――
それに何より…お揃いの指輪嵌めてるってだけで
なんだか何時も一緒にいるみたいで安心するし…』
そう言うと葵は自身の左手人差し指に嵌めたプラチナ製の指輪を見つめながら
うっとりとした様子で微笑む…
すると受話口から返って来た信の返事は余りにも現実的で――
「ハハッ…まあ確かに――
指輪を通して何時でもお互いの居場所を知る事が出来るしな。」
『っもう…信ってホント、そういうところがデリカシーに欠けるよね!
ところで――信が今いるそこって何処…?病院…?』
「ん?あぁ…今日傷口の抜糸で――って…早速指輪のGPS使って俺の居所探ってんのか…
人にデリカシーがないとか言っておいて…」
『んふふ~…実は今日…信が出かけてからずっとスマホで信の動き見てた♪』
「はぁ~…お前なぁ…
別に俺の動き追うのは構わんが…ほどほどにしとけよ?
いざって時にスマホで位置情報見過ぎて…
電池が無くてスマホが使えなくなったら困るだろ…?」
『ん…それもそうだね。分かった…
ねぇ信?』
「…ん?」
『指輪があるのに――ec+って…いる?』
「ッ、いるいる!“改良型”って言ったろ?
前の奴は押せば俺にお前の居場所をリアルタイムで正確に教えてくれるだけだったけど…
今度のはなんと押せばお前のスマホから半径一m以内にある
スマホやパソコンへのペアリングを開始し――
その情報が俺の持つ端末に送られるようになったんだ。
だからec+を押す事さえ出来れば…
もし万が一お前が誰かに連れ去られ…スマホが捨てられるような事があったとしても――
ペアリングに成功した犯人のスマホやパソコンから得た情報…
それプラス指輪からの位置情報で
より早く、正確にお前を助け出せるって寸法だ。」
『はぇ~…』
―――前に葵が連れ去られ……無事助け出すことが出来たのは
誠さんの気まぐれによるものだからな…
もう二度と運や気まぐれなんかで左右されないよう
もっと確実な方法を確立しないと…
まだ葵の父親の件も残ってるワケだし…
一番いいのは葵を閉じ込めておくことなんだろうけど――
流石にそれはな。
頭に浮かんだ考えに信は思わず苦笑を漏らす…
すると受付から信を呼ぶ声が聞こえ――
「お!葵悪い。今から抜糸なんだ…
それじゃあ――」
『うん……あ!ねぇ信…俺今日の夕飯――
もう一回カレーにチャレンジしてみようと思うんだけど…』
「おっ!いいねぇ~…
だったら今日、出来るだけ早く帰るよ。」
『ホント!?フフッ…じゃあ頑張って作って待ってる!』
「ああ…楽しみにしてる。」
それだけの言葉を交わすと――
信と葵は名残惜しい気持ちを堪えながら互いの通話を切った…
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