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なんかイライラは消えなくて気付いたら万引きしたチョコバーを食べながら麻雀荘の座敷でふて寝している。なんか左手痛い。そういや路地裏で痴漢殴った記憶ある。
ここの店主は昔、怪人の手下だった人だ。とはいえ夢幻みたいに腹心の部下じゃなくて、仮面ライダーでいうところのショッカーの一人ってレベルだから、怪人の素顔も素性も全然知らない。初めて会ったときに両親のことを聞いてみたけど、案の定望む情報は一ミクロンも得られなかった。
……他の友達なら、もうちょっと理性的に出来た。相互理解と仲直りまでのルートを計算して、すんなり対応できた。でも相手は幸多だ。大好きな人にちょっとでもやな顔されたら、なんかもうおれは、爆発して遠くへ飛んでいきたくなる。
「暗くなる前に帰んなさいよ」
「ぅあーい」
「お友達とも仲直りすんのよ」
「ふぇーい」
ハゲで眼鏡でオカマで目付きだけが妙に優しい店主は、煙草を吸いながらおれに言う。
「ほら、お友達からじゃないの?」
おれのスマホがブイブイ震えて、見たくないから、代わりに見といてってお願いする。
幸多からだった。もう放課後の時間だ。ロックだけ解除して、また店主に渡す。メッセージは見れない。ビビッてる、おれ。だって幸多からだもん。オカマの読み上げる文章を要約すれば、卑屈になって穿って八つ当たってごめん、という内容だった。ほんとだよ。なんでおれがつらくなんなきゃいけないの。可愛いけど幸多ってときどきムカつく。ネガティブいい加減にしろ。でもそんなとこも結局可愛くて好きなんだよなあ。イライラする。
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