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運命なんか、信じない
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ソファを使うのは恐れ多くて、フローリングの上へ。
千歳と向かい合うように、ぬいぐるみを腕に抱えたユキが「うんしょ」と可愛い掛け声と共に座る。
ユキにじっと見つめられ、気まずくなり千歳は斜めへ視線を逃した。
「ユキちゃんじゃないの……」
「え?」
「ちゃんじゃない」
幼い子供特有の、微妙に癖のある言葉の意味を、読み取ろうとする。
千歳が困った顔をすると、ユキはもちもちした頬をぷくっと大きくさせた。
「お名前。ユキちゃんじゃないのかな?」
「ユキだよ」
うんうん、と首を縦に振る。
その顔がどこかしら得意げで、悩む千歳を楽しんでいるようにも見える。
「えーっと。もしかして、ユキくん……なのかな?」
千歳が尋ねると、ユキの表情が綻んだ。
ユキちゃんではなくてユキくん。正解を当てた千歳に「おおー」と、ユキは目をキラキラと輝かせた。
──どっちか分からなかった……。
青のボーダーシャツに、デニムのオーバーオール。そして首には赤いスカーフを巻いている。
改めて見れば、確かに洋服の色合いは男児のものだ。
髪と目の色からして異国の血を引いているのは明らかなのだが、名前は日本人のようだし、千歳と同じ言語を話している。
レグルシュも、日本語が堪能だった。
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