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そこでようやく、電話口で喚き散らす恋人の声が聞こえてくる。
『なぁ~、ちょっと美月聞いている??』
即座に携帯を耳元に戻し、宵宮は腹の底から本心を怒鳴り散らした。
「ゴチャゴチャゴチャゴチャうっせぇ~な、もう二度と電話してくんな、バカ!!じゃあな!!」
勢いで通話をぶっちぎる。…だが、現場が瞬間凍結地獄であることに変わりはなかった。
宵宮が荒い呼吸を繰り返していると、今のところ脳内大混乱状態であろう同僚が話しかけてくる。
「なぁ…。宵宮って、早漏なの??」
「・ ・ ・笑いたきゃ笑えよ!!」
今のところ、宵宮の胸の内は“マジ死にたい”が盛大な盆踊りを開催している。性格最悪の大っ嫌いな同僚にフラレるところ見られるわ、コンプレックス大暴露されるわ、ロクな出来事が起きていない。
怒りと羞恥で、頬が真っ赤になっていく。
(恥ずかしい、恥ずかしい…。死にたいくらい、恥ずかしい!!)
ブルブルと全身を震わす宵宮の肩に、そっと同僚の手が乗った。
「質問の答えになってない。」
(…は??)
キョトンとする宵宮の腕を引っ張って、同僚が動き出す。…宵宮は、目を白黒させるばかりだ。
「答えないんなら身体に直接聞くしかないな。…寝ろよ。」
「え??え??…おい、朝倉、さっきからお前何言って…。」
二人が朝倉のデスク前まで辿り着くと、雪男は読めないポーカーフェイスで同僚を乱暴な手つきで机上に押し倒す。机の上に置いてあった文具が床に散乱し、機器はあちこちに退かされていく。
「…へ??」
あっけにとられている宵宮の両腕を頭上に固定し、相手は妖艶に微笑んでみせた。
「だから、身体にきくんだよ。」
普段は冷静な男の口からちらりと覗いた鋭い犬歯が、肉食獣のそれに似て、獲物は初めて自らの危機を悟った。
「…マジ??」
は、はは…と力なく笑う組み伏せられた獲物に、獣は覆い被さっていった…。
…失恋した挙句欠点を把握されていると言っても、相手にタダで食われる義理など宵宮にはない。
(っつーか、そんな義理あってたまるか!!)
獲物は足をバタつかせ、捕まえられた両腕を力いっぱい振り回そうとして、精一杯の抵抗を試みる。
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