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獣の双眸が、獲物への飢えでギラギラと挑発的に輝いていた。
定時を迎えると、オフィスは急に騒がしくなる。席で荷物を纏めるもの、どこかに去っていく者、相変わらずデスクに噛り付いて残業を腹に決めた者…。そんな中、宵宮がデスクに革鞄を持ち上げていると、そばに獣が駆け寄ってくる。相手はもうすっかり帰り支度を終えていた。
「おつかれ、宵宮。」
獣の双眸が恍惚と細められる。嗜虐的で艶やかな眼差しが、獲物のスーツの中をまさぐるように見つめてくる。
「…お前も、お疲れ様。」
鞄に荷物を詰めつつ、宵宮は冗談半分で相手に問いかける。
「…でェ??今日は何して遊ぶ??」
言った後で我ながら気恥ずかしくなって、宵宮は弾けるような笑みを口元に浮かべる。
「…なんてね。」
獣の反応は素早かった。それとわからないように、宵宮に耳打ちする。
「…期待してんの??」
宵宮はじわじわと頬へと熱が集中していくのを生々しく感じた。持ち主が動揺していると察したかの如く、鞄を床に落としてしまう。ファスナーがしっかり締まっていなかった鞄の中身が、床にぶちまけられる。
「あ…っ!!すいません!!」
宵宮は急いで屈み、床に広がった物を鞄に戻していく。
「…ったく、しょうがねぇな。」
大元凶である朝倉は気だるげに首を左右に振ってから、その場にしゃがみ込み、獲物を手伝いだす。
いそいそと鞄に物を戻しつつ、宵宮は相手とひそひそ話を始める。
「…その、朝倉。こ、これはアレだ。図星あてられて怯んだとか、そういうのじゃないからな!!」
「ふぅん??…その割には、顔真っ赤だけど??」
「はっはっは~っ!!もう朝倉ったら、いやだなぁ~!!これはさっき気合入れようとして両頬をバンバン叩いたからで…っ!!」
刹那。二人の手が、一本のボールペンの上で重なり合う。宵宮のものの上に、獣の手が覆いかぶさった。…朝倉は、獲物の手をやんわりと握りしめた。
「…さっきって定時直前に気合入れたの??本当かどうか怪しいな~??」
「…っ」
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