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「…僕、スキ、なのかも??」
所在なさげに呟いたその声は…。
「何が好きなの、美月チャン。」
まさかの人物に聞かれてしまった。ぴょこっと顔を出す朝倉に、獲物の背筋は瞬間ピーンと真っ直ぐに伸びる。
「あああ、朝倉!!」
「悪ィ、課長の話が長くってさ。」
隣にどさっと腰掛ける朝倉に、獲物の胸の高鳴りはますます酷くなる。
「…で、何の話だ??」
興味津々で目を輝かせてくる相手に、宵宮はドギマギしつつ答える。
「りょ…、料理作るのだよ。ふっ、二人分作っていても全然苦にならないから、僕は料理好きなんだな~って…。」
「ふぅ~ん。何だ、残念。てっきり、美月チャンがオレへの気持ちに気づいたのかなと思ったんだけど。」
「いい加減にしろ。自惚れんな…。」
言い返しつつ、宵宮の内心はドッキドキだ。
「そっかぁ。そいつは残念っと…。」
朝倉はというと、相手の動揺を察する様子は皆無で、これ貰うわ、と勝手に自分の風呂敷を取り上げる。風呂敷を解きながら、上機嫌に鼻歌を奏でている。
端正な横顔を眺めつつ、宵宮は静かに考える。
(僕は、本当に朝倉がスキなのか??いつもと違う状況で一緒にいたら、何かわかるかな…。)
宵宮は、思い切って口を開いた。
「お前さ、今日、仕事どう??金曜だけど、定時で帰れそう??」
朝倉は鼻を鳴らして答える。
「そら誰かさんと違って、有能ですから~。…そうじゃなくても今日は、“レッスン”の日だろ??速攻で美月チャンと帰るために頑張るっつの。」
「…ひ、一言余計だ。悪かったな、無能で!!…けど、そっか。定時で帰れるなら…。」
宵宮はパッと顔を上げて、相手に誘いをかける。
「今日、帰りに近くのデパート寄らないか??皿が欲しくて。」
「…皿??」
朝倉は弁当箱の蓋を持ち上げ…中身の出来栄えを見て指笛をピュウッ♪と吹いた後で、相手を見つめ返した。
「何で皿がいるんだよ。」
「お前、ウチに泊まる機会増えたじゃん。夕食とか朝飯とか一緒に食べるし、僕の家は当然一人暮らしだから、二人分作っても皿がバラバラだと分けにくいし。えっと…。」
宵宮は少し言い淀んでから、言葉を発した。
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