アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
56
-
次の日も課外が終わると、先輩は僕の部屋に来てくれた。
先輩は昨日僕が宿題を開いていたから…と宿題を持参し、一緒に宿題をしたり、昨日のようにまったりとしたりして過ごした。
その次の週からも、平日は会長室でお手伝い役をして、土日は課外の後に先輩が僕の部屋に訪れるという日々を送った。
しかし、そんな夢のような日々も長くは続かず、課外も終わりが近づき、本格的な夏休みが迫っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーー
「静は夏休み、いつから帰省するんだ?」
いつものように3人でお茶をしている時に会長に問われ、胸がドクンと嫌な音をたてる。
全寮制のこの学校では、部活をやっていない生徒は課外が終わったら帰省し、そのまま夏休み中は実家で過ごすのが普通だ。
部活をやっている生徒も、お盆休みの一週間は帰省する人がほとんどだ。
僕は帰省する場所などないので、寮でずっと過ごすつもりでいた。
(変に思われるだろうか…)
僕が答えに詰まっていると、
「まだ決めて無いのか?」
と会長が特に気にした様子もなく言ったので、僕は、はい、と言ってその場はやり過ごした。
(藤枝先輩はどうするんだろう…)
最近では放課後毎日一緒に過ごしているので、先輩のいない期間の事を考えるとすごく寂しい気持ちになってしまう。
きっと親の帰りを待つ子供のように先輩の帰りを待ってしまうのだろう。
(親…か……)
お盆には毎年父さんのお墓参りに行っていた。
お墓参りといってもちゃんとお墓があるわけではなく、父さんが亡くなった場所にお花を備えお参りをしていた。
父さんは僕が小学生の時に交通事故で亡くなった。
父さんも母さんも身内とは疎遠だったし、お墓をつくるお金は無かったため、父さんをお墓に入れてあげることは出来なかった。
いつかちゃんとしたお墓をつくりたいと思っている。
今年もお盆休みに父さんのお墓参りをしようと思っていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
56 / 66