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あの日からずっと高橋は僕の看病をし続けた
三日目ぐらいから先生がいなくて、夜は怖かったけど高橋はいつも謝りながらも一緒にいてくれた
ご飯作りも掃除も、体が痛くてベッドの中で蹲っていたら痛い場所を撫でてくれた
…痛いこと、苦しいことは全くされなかった
それでも僕はまだ高橋のことを信じ切れていない
今日は先生が来ることを知っていたみたいだったから高橋は学校に行ってる
「そろそろ高橋といることに慣れたか?」
「……まだ慣れない」
先生が来てるのになんで高橋のこと考えてるんだろう
でもせっかくだから今のこと話してみようかな
きっと先生ならどうすればいいのかわかると思う
「高橋も頑張ってんだな、良かった良かった」
「…先生」
実際言うには勇気がいるけど先生は僕の欲しい答えをいつも言ってくれるから
「ん、どうした?」
「え、っとな、んで、高橋は僕にこんなこと…するの?」
僕に優しくしても何も良いことなんてないのに
「祐の状況を改めて間近で見て、危機感を覚えたんだ」
「…どういう、こと?」
「元々、いじめに対してなんとかしたいとは思っていたらしい。祐の今の状況が高橋も不味いと感じて来たんだそうだ。お前をクラスから助けて、守る。そう言ってたぞ」
良かったな、と頭を撫でられた
何度も聞いた助けるという言葉を僕はまだ信じられない
先生の言葉を聞いても嘘だって思ってしまう
「最初は信じられなくて怖いとは思うが、少しずつあいつを見て気にしてくれると俺も嬉しい」
先生も…高橋の味方なのかな
「…頑張る」
「はは、久しぶりに頑張るって聞いた。今日は良い日になりそうだな」
「…そんなに言ってなかった?」
先生が久しぶりに声を上げて笑ったんだから、きっとそうなんだ
「いい傾向ってことでいいんだろうな。これも」
「…ん?」
「いや、何でもない。ただ同じぐらいの年代と関わることは大事なことだ。だが焦るなよ。高橋はきっと待ってくれる」
「……本当に、そうかな」
もし、何かがあって高橋を怒らせたら殴られるかもしれない
ここまで踏み込んできて、裏切られたらと体が震えるのを先生が両手を掴んでしゃがみ込み、僕を見上げる
「高橋は今、祐のペースを早く覚える為にいろいろと練習してる。ついでに距離感もな。だから少しだけ距離を縮めようと積極的になっているのはそのせいだ。嫌なら嫌とちゃんと言えれば高橋も段々とわかってくる」
「…僕は、高橋に関わって欲しくないって言った。そしたら…信じなくてもいい、だけど僕を助ける気持ちは変わらないって、言ってた」
僕といれば不快に思う人だっているし、相馬君達に高橋まで一緒にいじめられてしまう可能性だってある
…そこで、まだ食い違っているのはまだ距離感…がわからない、から
本当にそうなのかな
「悪い、そろそろ戻る。熱も下がっているし、怪我もだいぶ良くはなったから学校行ってもいい。だが気をつけろよ。何かあったら連絡、絶対な」
「…うん」
少し急いで先生は学校へと戻っていった
「…僕は、関わって欲しくない。今更…助けるって、言われても」
このまま相馬君達に暴力されて、打ち所が悪くて死んでもいいくらいなのにどうして今更高橋は来たんだろう
助けてもらえるほど何かが出来るわけでもないし、助けてもらったとしても将来どうしたいとかそんな希望も何もない
ただ生きてるだけの無意味なことばかりしてしまう気がして…それしか思いつかない自分に二人がやっぱり助けなければ良かったって言われる方が嫌だった
そんな自分のことしか考えられないから、僕を助けたって何も良いことはない
「…それを、伝えたかった。でも…伝わらなかった」
ソファにぱたりと倒れるようにして寝転がる
「どうやって、伝えればいいの…先生にも…相談出来ない」
また、息が苦しくなりそうだった
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