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56 高橋side
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高橋side
次の日の午前中に大きな荷物が来て業者さんが冷蔵庫と食器棚を持ってきてくれた
「これで、全部です」
「ありがとうございます、お茶どうぞ」
桜井さんが業者さんにお茶のペットボトルを渡すと、すごく感謝されていた
家具で必要な物はある程度ホームセンターで買って、組み立てたりしてたんだけど結構楽しくて出来たあとの達成感はなかなか気持ちよかった
「けほっ、げほ…っ」
まただ、咳が止まらない。最近多いなと思って窓を確認してみたけど開いてるし、埃も新しい家みたいだからそんなにないはずなのにな
「…けほ、けほ」
先生たちに見つからないように自分の部屋に戻る
なんで、こんな大事でみんな嬉しそうなときに邪魔しちゃうんだろう
「げほっ、けほげほ…けほっ」
手で口を抑えて聞こえないようにして治まるのを待つ。ドアに寄りかかりながら座ってなるべくばれないように咳をした
大丈夫、大丈夫…いい加減治まれ
心の中でそう思って我慢すれば少しずつ治まっていく
「…はぁ、はぁ…おさ、まった…」
咳を止めるのも大変だけど、こういうときくらい心配かけたくないから落ち着くまでは黙っていたい
「よし…降りよう」
今部屋に戻ったのは買い物行く前に配置とかを考えてたんです、と言えば怪しまれないはず
「あ、蒼太君。何か忘れ物したの?」
階段を下りれば桜井さんに聞かれてさっき考えた理由を言おうと口を開いた瞬間、先生の声がした
「おーい、そろそろ買い物行くぞ」
「はーい。後でね」
「あ、えっと…買い物、多分ホームセンターも行くと思って配置を見に行ってただけです」
先生が車のエンジンを入れに先に外に出てしまうのを慌てて俺達は後を追う。がばりと外のドアを開けると冷たい風にまた少し噎せた
「…っ、けほっ」
もう、なんなんだ一体…と自分の体に悪態を吐くと桜井さんが背を撫でてくれた
「大丈夫?」
「は、い。冷たい風にやられました」
苦笑いすれば寒いからねと寒そうにしている
せめて今日の買い物では大人しくしてようと車に乗ると何事もなかったかのように動き出した
ホームセンターに行くと悩むのがやっぱり値段だったりする
俺がまだ学生だからなんだろうけど…家具って意外と高い。その分質はいいんだろうけど…
シングルベッドを見ても、普通の大きなベッドは一番安いのでも三万ぐらいはする
先生達には遠慮しなくてもいいとは言われてるけど限度があるだろうし、こんないいベッド買っても多分落ち着かないと思うな…
「うん、安いのにしよう…他にあるかな」
ふらふらと歩いていると折りたたみ、すのこ、スチールがあってそれらは比較的一万円前後のものが多かった
「蒼太」
「祐? どうしたの」
祐は俺を名前で呼ぶことも呼ばれることももうすっかり慣れたようで自然になってきた
だけど俺がまだ少し慣れなくて内心ドキドキしてる
「…決まった?」
「この中のどれかにする。さすがにあそこに並んでるベッドは高いから」
「…安いんだね、こっち」
「そうそう。うーんどれにしようかな…」
祐は悩んでる俺を横目で見つつも待っててくれた
「蒼太君どう? いいのあった?」
「っ、さ…じゃなかった。明良さん、はい。これにします」
結局選んだのは折りたたみのベッド。マットレスが付いているから敷き布団と掛け布団だけで済むからだ。安くていい買い物をしたと思う
「遠慮しなくていいのに」
桜井さんはそう言うけど、さすがに…と周りを見渡すと折りたたみを見た後だからか余計に豪華なベッドに見えた
ベッドと俺は布団も買ったからこれでもう俺は寝れる
枕は試しにふかふかのを買った。先生達も必要な物を買って車に積めていく
「こんなもんか。次は…電機屋行くぞ」
はーい、男四人で生活用品買うなんてきっと誰も思ってないだろうなと考えながら向かう
お店も新しい家から近くて駅も近かった
本当に四人で暮らしていくんだっていう実感がやっと出てきて胸がいっぱいになる
…親孝行、じゃないんだろうけどしたい。どうすれば返せるだろう
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