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それは突然の事だった。
家族はとても仲が良く、誰が見ても幸せな家族そのものだった。
幼い頃の煌はいつもの様に母親と手を繋いで幼稚園に通っていた。
「お母さん、お腹の赤ちゃんって男の子?」
煌はちょうど目の高さにある母親の膨らんだお腹を見て聞いた。
「どうかしらね?お母さん、産まれた時の楽しみにしようと思ってまだ聞いてないの。煌は弟がいいの?」
大きくなったお腹をさすりながら母親は聞いた。
「僕絶対弟がいい!一緒に遊びたい‼︎だからお母さん弟産んでね!」
母親の手を両手でぎゅっと握ってお願いした。
「それはお母さんが決めれないの。どちらかは産まれてくるまでのお楽しみね!」
母親はしゃがんで煌と視線を合わせ、頭を撫でながら答えた。
「わかったよ。でも僕どっちでも楽しみだよ!早く産まれてこないかなー!後何回寝たら赤ちゃんに会えるかな?」
煌は母親のお腹を触った。
「それは赤ちゃんが決める事だから分からないわ。でももう少しだから、カッコイイお兄ちゃんになれるように今日も元気に幼稚園に行こうね!」
「うん!」
その会話が最後に、幼稚園に着き母親に元気良くバイバイをした後の事だった。
母親はその帰り道に車に轢かれてお腹の赤ちゃんと一緒に亡くなった。
赤ちゃんは男の子だった。
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