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「やめっ…、ベルゼ──」
「今すぐそいつを離せ」
耳の奥に直接響きそうな程低くイラついた声に奏ははっと息を飲んだ。
それは奏の知るいつものアスタロトではない。
目は禍々しくギラつき身震いすら覚えるが、彼の逆鱗に触れた当の本人はあっけらかんと笑ってみせる。
「ほら。やっぱカナデが大事なんじゃない。だったらしっかり首輪でもしときなよ、フラフラさせないでさ」
「…!」
「ああ、そうする」
ベルゼブブは腕の中でもがく奏の背中をトンっと押し、今度はアスタロトの腕に閉じ込められた。
「身勝手な行動は慎め」
「でもこんな姿じゃ…」
「どんな悪魔でも最初から大きな翼を持っている訳ではない。つまり、今のお前にはそれが当然の物だ。それなのになぜ気にする?」
「……あんたの隣にいるからだよ」
真面目な奏は悪魔について書かれている書物の多くを読みあさり、知識を広げた。
するとアスタロトという者がどんな存在の悪魔なのか自ずと見えてくる。
──アスタロト。
彼はルシファー、ベルゼブブと共に肩を並べる悪魔とされ、40もの悪魔軍を率いる大公爵とされている。
そしてそれを裏付ける日常を目の当たりにしている奏は言われを納得しながらも彼に気後れしていた。
"自分のような半端者が側にいていいのか"、と。
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