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少しだけ?
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「……真白?」
「……そ、ら…」
振り返った先には転校してここにはもういないはずの城島空だった。俺にトラウマを植えつけた男。
「…真白、だよな…お久しぶり
「…うん。久しぶり……帰ってきてたのか」
「あぁ、父さんがまたこっちで働くらしくて…」
「……そっか…」
べつに、怖いとか殴ってやろうという気にもならない。あんなコトされたあの日から、もう関わる気がなかったんだ。今となっては俺にとっては友達以下なわけだ。
ふと、手に持っていた買い物袋が目に入った。
帰ろ…
「…俺、帰るな。……また」
そう言ってすぐ帰るつもりだった。
「…待てよ!!」
…………ああもう、なんだよ!!!!俺はせっかくの休みだから家でゴロゴロしてたいのに!!!
「………なに?」
イライラしながら俺は答えた。
「あの、前はごめんな……ほんとに悪かったと思ってる。でも……本当に好きだったんだ」
「………もういいって」
ここでまた、予想外の言葉が飛び出てくる。
「………いまでもお前が好きだ」
「はぁ?!」
好き?!
ライク?!?!
いや、この流れの場合
ラブ?!?!
はぁ~面倒くさ…
「…ごめん俺、好きな人いるから」
…………………男だけどな。
「…そっか。…友達っていう位置には置いてくれない?この後ちょっと話してぇんだけど、ダメ?」
面倒くせぇ…非常に面倒くさいよこれ。真白ちゃんは早く家に帰りたいってのになんでこうなるかな!!!!!なんとかしてよ!!!!……無理か。
まぁ、こいつ言い出したら聞かねぇからきっとしつけぇだろーな………面倒くさけど、しつこくかまってこられるとさらに面倒くさいからな……
「はぁ……少しだけな」
面倒くせぇと思ったけど、空の方が引き下がろうとしないので、今回きりだと言って付き合うことにした。
「………ありがと!!」
満面の笑みでお礼を言う空になんの疑問ももたなかった。下を俯いた時、どんな顔をしていたかなんて俺は知りもしないんだ。
俺は、ただただあいつのいる家に早く帰りたくて仕方なかった。
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