アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
好きだから……
-
獅音side
昼前くらいに起きたらあいつがいなかった。でも、買い物にいったのかなぐらいにしか思ってなくて、とくに連絡することもしなかった。
それからも結構時間が立ってたけど、友達と遊んでんのか?って思ったりもして、しばらくしたらあいつから連絡してくるだろうと思って俺から連絡することはなかった。
6時すぎてもなんの連絡もなくて、流石に心配になってきて俺から電話をかけた。
………………出ない。さっさとでろよ!!!どこほっつき回ってんだか!!
やっと出たかと思って、どこにいるんだ!!って言ってる途中あきらかにあいつの声ではない少し低めの声が聞えた。
城島 空だった。
俺は電話越しに聞こえた声が響いてるのを確認して、倉庫とかにいるかも知れないと思った。急いでパーカーを羽織って、あいつがいつも行くスーパーの近くの倉庫らしきものを見つけては中を探しまわった。
外も暗くなって探しにくくなってきた中、先延ばしになってしばらくたつ工事現場の木材倉庫を見つけて中を探す、鉄骨が置いてあるところの先は扉が固く閉められていて開かなかったから近くに落ちていた鉄パイプで壊して開けた。
そこには泣いている真白と真白の上に跨る城島がいた。
「………やっと見つけた…」
二人を見つけた途端、真白をこんなにしてる城島を殴り殺したくてしょうがなかったけど、そんなことより真白を連れ帰るほうが先だからと、一発だけ、一発殴っただけで我慢した。
泣いている真白を泣き止ませようと抱きしめたら、真白は、幻滅しただろとか嫌いになったろとか、汚いって言って突き飛ばせとか苦しそうな声で泣いて叫んだ。
………もっと早く見つけられてたらこんなに泣かせることもなかったかもしれない。こんなこと言わせることもなかったかもしれない。
幻滅したり嫌いになったりするかよ……汚いなんて思ってるわけねぇだろ…
……好きだからお前が心配で、柄にもなく必死こいて走って探し回ったりしてんだろうが…
……頼むから、そんな苦しそうな声でそんな悲しいこと言うなよ…
中2の頃のあの時の帰り道、いつも負けず嫌いで減らず口叩いてるあいつを背中にとても小さく感じた。『守りたい』と思った。
あの頃とは違うこともたくさんあるけど、今も背中に感じる小さなあいつを『守りたい』と感じる気持ちはあの時と変わらない。
なのに…。…好きなやつ一人まともに守れないでほんと情けねぇ。
……ごめん。こんな情けない俺だけど守らせて…お前の涙を止めさせて…苦しそうなときは抱きしめさせて…
好きじゃねぇとこんなことしねぇよ……
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
68 / 315