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レシートの有効利用
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「待って。」
(まだなんかあんのかよ〜〜)
幸希はあからさまに溜め息をついて、再び男と向き合った。
「すげー嫌そうな顔。これ、レシート。」
涼しい顔で男はレシートを差し出した。
「はい(怒)どうも!」
受け取ろうと手を伸ばしたが、男はレシートをヒョイと上にあげた。
「わっ!」
幸希はバランスを崩し、レジに手をついた。
「ねぇ?もしかして、俺の携帯番号消した?」
すぐそばに男の端整な顔があった。
「はっ?」
「まだ背中が痛むんだけど☆」
男の楽しそうな顔に幸希は顔を歪めた。
「…脅迫?」
「いや、ただ、もし君が俺の連絡先を消して、今回の事をなかった事にしようとしたんであれば、問題だなっと思って。手に書いた番号は消えてるみたいだけど。」
幸希は左手を隠した。
「け、携帯には登録したよ!」
「見せて。」
幸希はウッとなった。
「….今、充電切れてて….。」
自分で言った言い訳に幸希はがっくりとなった。
男はふっーと息を吐き、持っていたレシートの裏にペンを走らせた。
「?」
「これが俺の番号。」
渡されたレシートにはこの間書いてくれたのと同じ筆跡の番号があった。
幸希は明らかに不満そうな顔をして、男を見た。
「…慰謝料は払っただろう?まだ…足りないのか?」
今すぐにでも不要な”レシート入れ”の箱に入れたかった。
「…ただ期待したかったんだ…。」
そういって少し笑った男は、年下だなぁ〜と思わせる初々しい感じだった。
「よく分からないのですが?」
幸希はその顔に少し警戒心を解き、首を傾げた。
「まぁ、なんか…あったら連絡して。唐揚げ弁当食べたい時とか、学食来たい時とか…。いつでもいいから。」
「は、はい…?」
(そんなに俺、飢えた顔してんのかな?)
幸希は頬を触りながら、レシートの裏を見つめた。
「勝谷さん、確認お願いします。」
先程、品出しをしていた男の子が2人の間に入ってきた。
男の子が幸希をギロリと睨んだので、幸希は急いでレシートをポケットに押し入れた。
「じゃあ…。」
「ありかとうございました。」
「ありがとうござぃましたぁー。」
外の空があまりにも青くて、幸希の目にしみた。
家に帰り、コンビニ袋を見るとお弁当•お惣菜クーポンの冊子の間にはなぜか4500円が入っていた。
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