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そんな訳で現在の雨宮くん
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「はぁっ〜。」
(もう忘れよう!)
ふるふると頭を振って、幸希は手元の書類を引き寄せた。
(仕方がないよ…もう連絡しようがないし、あの子がなんであんな事したはわかんないけど、それであっちがいいって思ってんだから…俺は悪くない!よしっ!)
幸希は両手で頬を叩き、厚みのある書類に向き合った。
「いやぁ〜〜今日は外が暑いくらいだよ〜〜。」
ピタリと事務所の空気が止まったのがわかった。
「桜も散って、夏が来るんだね〜〜。」
呑気な声にみんなが顔を伏せた。
(やばい…営業部長がなんか仕事とってきたんだ…)
(あの感じはまた面倒くさそうな仕事だぞ…)
(頼む…俺のとこには来るな…)
みんなから発せられる負のオーラがわからなのか、営業部長は口笛を吹きながら、事務所内を歩いていた。
(忙しいフリ…忙しいフリ…)
幸希も顔を上げず、一身に書類にボールペンを走らせた。
営業部長の取ってくる案件は大体面倒くさいような客でしかも低予算でとってくる。
(行かせられたら、1日潰れちゃうよ!)
幸希はやらなきゃいけないスケジュールを頭の中で組み立てていた。
(あの現場の見積書作って、工程表組んで…)
「じゃあ今日は雨宮くん。」
ポンっと肩を叩かれた。叩かれた瞬間、スケジュールは崩れ落ちた。
(あぁ…!)
(気の毒に….)
(よかった。俺じゃなくて…)
みんなのほっとした気持ちで、ようやく事務所の空気が流れ出した。
1人を除いては…
「おで….ですか…?」
幸希は手にしていたボールペンを取り落として、ギシギシと振り返った。
「若い人が多いところだから、雨宮くんが適任だよ。」
営業部長は丸っこい顔でコロコロと笑っていた。
「はぁ…?で、何の仕事ですか?」
幸希は諦めたように椅子ごと営業部長に向き合った。
「西町の大学なんだけどね…」
(えっ…?)
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