アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
激情 end role
-
「サカセくんてさ、良いよね、このカッチリ感?」
「うんうん。わかるー」
僕は逆瀬東・サカセアズマ・18才。
テニスサークルの集まりで、僕史上最高に囲まれ中なう。
世間では、僕みたいなのび太のまま大人になったヤツでも、一応『眼鏡男子』の扱いに入るらしい。
男子というには、年がアレな気がしたし。
カッチリしてるのは眼鏡のフレームだけと思ったけど
花山女史の言うことに、逆らわないのがベストだと、ナカタくんに教わったばかりだったから、つい何となく頷いてしまった。
「じゃあさ、なるべく早目に単位、取りたいんじゃない!?」
「えっ!?いや、…まぁ、そうですね」
僕は、一般教養も、専門講座も、出来るだけ自分で出るつもりでいた。
先生たちの話を聴くのは楽しかったし、大教室は、いつも学生たちの活気で溢れていかにも大学、という雰囲気がして好きだから。
「じゃあ、アタシたちが色々協力してあげるよ!だからさ、メルアド交換しよ?」
…ぉー。そうくるのか。
女の子とロクに話した事の無かった僕は、内心ひどく関心した。
「じゃあ、オレもー♪」
素早く便乗したナカタくんのお陰で、何となくその場の雰囲気で他の何人かともアドレス交換することが出来た。
「えーと…名前何てんだっけ?」
誰かが訊いてきた。
「サカセです」
「あ。俺、ハカセで登録しちったよ!」
また誰かが言って、みんなが笑った。
「バーカ!出席カードの名前間違ったら、意味無いだろ?ちゃんとしろよな」
…あ。ナカタくんだ。スゴくちゃんとしてて、優しい人だな。
「あ、そっか。わりぃな。じゃあ、明日の2限はヨロシク」
青木、と書かれたカードが、僕に押し付けられた。
「コラコラ!それじゃ、逆でしょ!?」
…あ。ソノダさんだっけ。ハッキリ言う子だなぁ。
「ま、ソコは、ギブアンドテイクってことで!!」
絶妙なタイミングで、軽やかに消えるアオキくん。
…なんか、さすがだ。てゆーか、カッコイイ。
…ちょっと僕のタイプかも。
「は?」
傍に居たソノダさんが、怪訝そうな顔をしたのが、判った。
「な、何でもないよ。背高いなって言っただけ」
慌てて笑って誤魔化した。
アオキくん、背高いし。
僕はSサイズだから、あながち嘘じゃない。
「確かに。ムダにデカいよな」
あれ?ナカタくん。意外にコンプレックスあるのかな?
そんなこんなで始まったキャンパスライフ。
ナカタくんとソノダさんと僕。時々アオキくん。
ごくたまに、花山女史と平田さん。
そんな感じで、僕の世界は平和に回ってた。
それが崩れたのは
ソノダさんとアオキくんが付き合い出してから。
急にナカタくんが、不安定になった。
僕の分析では、どうやら、彼はソノダさんを好きだったようだ。
2人の仲の良い姿を見た後、逃げるように帰ったり、学祭やイベントでは、2人をしつこくからかってはしゃいだり。見てるコッチがハラハラする位だった。
…てゆーか。なんでナカタくんは、告白しなかったんだろう?
僕は不思議で仕方無かった。
ハッキリ言って、ナカタくんはかなりのイケメンだ。
真面目で、面倒見が良くて、成績も優秀で。アオキくんに負けてるのは、身長位だと思う。
ソノダさんも、それはよく解ってたみたいだし、少し努力したら付き合えそうな位、仲の良い2人だったのに、と。
その謎が解けたのは、とある飲み会の帰りだった。
飲みすぎでフラフラになったナカタくんを、僕はアパートの部屋に上げた。
「今、お水持ってくるから、待ってて」
立ち上がろうとした僕は、ナカタくんに肩を掴まれ、そのまま、床に押し倒された。
「フラれた者同士、慰め合おうぜ?」
囁かれた言葉に、頭が真っ白になった。
「オレ、聞いてたんだ、あの時。」
…僕がアオキくんに告白したって、みんなにバラされる?
既に、脅迫だと思った。
「抵抗、しないのかよ!?」
酷く悲しそうな声だと思った。泣いているのは、どちらなのか、判らなかった。
どうして良いのか、分からないままに、ナカタくんの熱は狂気を孕み、僕を暴き、揺すぶり、限界まで突き飛ばした。
「お前が、悪いんだ…」
ナカタくんが帰った後も、僕は硬い床の上から、起き上がれなかった。
翌日。
教室に入ると、一斉にみんなが僕を見た。
キタナイモノでも見るような、そんな目付きだった。
ピコン
スマホを取り出して見た。
『おはよー淫乱くん(笑)』
メールはナカタくんからだった。
「…最低だ」
僕は唇を噛み締めた。
事の最中らしい僕の赤裸々な姿が僕のスマホで一斉送信されていたのが判ったのは、お昼を過ぎてからだった。
「たぶん、もう知ってると思うけど。サークル内でこーゆーのって困るんだよね。あと、こんなイザコザが学校にバレたら、本当に大変な事になるわよ?」
そう告げた花山さんは、さも興味無さげにそそくさと歩み去った。
「よう。仲良くしようぜ?」
研究室で、手を洗っている所を平田さんに捕まった。スチール製のシンクと平田さんに挟まれて、僕は凍り付いた。
「泡、流させて下さいよ」
手を見せて冷静に言ったら、少し隙間が出来た。
振り返って、上目遣いに微笑んでみた。
「…キス、してみます?」
間髪入れず、スマホで目を閉じた平田さんの顔の写真を撮った。
カシャッ!
「キス顔GET。はい、一斉送信。と」
「お前、今の…」
訊かれるまでもなく、平田さんのスマホが鳴り出した。
「何か、マズいことでも?」
僕は知っていた。花山さんの平田さんに対する気持ちを。
「こ、このっ!のび太のクセに!!」
怒った平田さんを難なく交わし、僕は隣の教室に居たナカタくんの前に進んだ。
「ねぇ、スネ夫。慰謝料、頂戴?あ、キミにはママが居ないんだっけ!?」
みるみる顔付きを変えてゆくナカタくんを見ながら、僕は笑った。
「あの人達をどーにかしてくれたら、また慰めてあげなくもないけど。どーする?スネちゃま!?」
平田さんは僕の後ろで、花山さんと言い争ってる。
「いい加減にしなさいよ!」
誰かが僕の頬を叩いた。
…あぁ、ソノダさんだ。
「いい加減にして欲しいのはコッチだよ、しずかちゃん。キミ達の恋愛で、コッチの友情はズッコンバッコンなんだよ。…ほらね?」
僕がシャツのボタンを外して見せると、ソノダさんはギョッとして、動かなくなった。
「それじゃあね、諸君。中出しゲンキン!!」
バン!とナカタくんの背中を叩いた僕は、カバンに入れてきたコンドームの箱を机に置くと、教室を後にした。
何も知らないアオキくんと正門で挨拶した後、僕は鳴り続けるスマホを石垣にぶつけて、黙らせた。
…あーあ。短い青春だったなぁ。
腰を擦りながら、その足で駅に向かい、新幹線に乗った。
…ドラ○もんなんか、どこにも居ないんだよ。
涙を拭くのに、メガネがとても邪魔だった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
5 / 20