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蓮視点
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「だいぶ傷を負っていますね。痛みはどうですか?」
「……っ」
身体が凍てついて意識を失いかけた時、運が良いのか悪いのか巡察中の区警に発見された俺は病院へと運ばれた。
それからは体中を次々と調べられ、今は男達が弄んだ場所の治療をされている。
中を洗浄されカメラで調べられ……声を出すのも困難なほど苦しくて辛い。
「出血は止まったようですが傷口の炎症が酷い。2、3日経過入院をしましょう。額の傷はまだ痛みますか?」
「…………」
壁に打ち付け、押さえつけられていたせいで髪の生え際辺りが切れ、発見された時は結構な出血だったらしい。
でも俺は全く気付きもしなかった。
身体のどの部分の痛みよりも…強烈に痛む所があったからだ。
「もう……ほっといてくれ…」
「ん…?」
「入院……するつもりはない」
「ですが郭に戻った所でしばらくは寝たきりですよ?」
カメラを抜かれると俺は重く軋む体の身なりを整え再び横たわる。
体を支える力すら失ったのかその動作すら困難を感じた。
「……もう……戻らない」
「それはどうしてですか?」
「俺は水揚げ前の契妓だから……郭には戻れないんだ…」
「────それは楼主である俺が決める事だ」
「ッ──!?」
病室のベッドを仕切るカーテン越しに低く凛とした声が聞こえれ俺は痛みも忘れて上体を起き上がらせる。
────伊月だ。
「ああ、遅かったですね。知らせはとっくに出したはずですが」
「"厄介な奴"に捕まってな」
そんなやり取りをしながらカーテンの隙間から渋い表情が覗く。
厄介な奴って……まさか!?
「っ…!」
「おい、暴れるな。心配しなくてもあいつは来てねえよ」
ぶっきらぼうにそう言い放って伊月は身じろぐ俺の肩を抑えた。
だがその手はいつものように荒いものじゃなく、この人なりに配慮した接し方なんだろうと思う。
するとなぜか力が抜け、散々流したはずの涙がまた滲んだ。
「蓮。お前に聞きたいことがある。夜にも関わらず着物姿で外に出たのは誰かの指示か?それともてめえの判断か?」
「……俺の…判断です」
「だったら何の為に?」
「…………」
"光を探しに言った"とは言えない。
もしその話が本人に伝わってしまえば気にするかもしれないからだ。
それに男達が言っていた"アイツ"。それが伊月じゃないという確証はどこにもない。
すっかり疑心暗鬼になってしまった俺は何も言えず伊月火目を逸らした。
足抜けだと思われるならそれでもいい。もうどうなったっていいんだ…。
「あいつ……心配してたぞ」
「っ────」
「客をほったらかしてここに来ようとしていた。なんなら明日にでも連れて来てやろうか?」
「やっ……やだ……っ!会いたくない…会いたくない!!」
「だったら正直に答えろ。お前はなぜ誰にも何も告げずに郭の外へ出た?」
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