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「え…一緒に、ですか?」
今、彼は何と言ったのだろうか、一緒に、誕生日を一緒に過ごそうかと言った気がした。
「嫌か?別の誰かと過ごすのか?」
彼の口調にも、表情にも、不安が滲んでいた。どうしてだろうか、何かあったのだろうか、僕も不安になる。
「一緒に居て、いいんですか?」
彼はふっと、笑った気がした。
「俺が誘ったんだから、いいに決まってる。」
「はい。嬉しいです。ありがとうございます!」
きっと、彼の気まぐれだ。でも、一緒に居ようと言ってくれた。それだけで、もう十分だと思えた。
彼とはその日、結局何もしなかった。話終わると彼はやっぱりすぐに帰ってしまった。僕は、その夜、眠る事が出来なかった。
バイトに行くと、すぐにお祝いしようと言ってくれた友人に、当日は予定が入ってしまったと伝えた。申し訳ない気持ちもあったけれど、彼の事で頭はいっぱいになっていた。
「彼女か!?好きな女の子いたのか!?」
「…好きな人が一緒にいてくれるって。」
友人は、女気のない僕を心配し、よく合コンに誘ってくれたけれど、断り続けていた。断り切れず、一度だけ合コンに参加したが、女の子とまともに会話すら出来なかった。合コンよいうより、盛り上がり過ぎて、ただの飲み会となり、気付けば、酔った友人達や、女の子を介抱する役目になっていた。
「言ってくれれば良かったのに!どんな子?同じ大学?あ!あの時の合コンでお前が、駅まで送ってやってた子か!?」
彼の圧力に耐えられず、うまくいけば話すよ、と逃げてしまった。
誕生日、その日は僕にとって終わりの日になる。最後にとても良い思い出を貰える。彼との思い出があれば、僕は、きっと頑張れる。
終わりを決めるのは、彼のはずだったのに、僕が、終わりを決める。彼にとっては、何の問題もないだろうし、むしろ、清々すると思うかもしれない。それで、いい。
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