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「あっぶね、うわっ!?」
よろけた足がベッドの淵に当たり腕を掴まれた状態のまま勢いよくベッドに倒れこんだ。その拍子に枕木で盛大に後頭部を殴打してしまい堪らず頭を抱える。
「いっ~~っ!」
痛みで目がチカチカした。高尾もろともベッドへダイブした宮地がガバッと跳ね起きて心配そうに覗き込んでくる。
「カチューシャは!? カチューシャは無事なのか?」
「ひっでぇ、俺の心配は?」
「てめえよりカチューシャのが大事に決まってンだろ!」
「ひっでぇ。大丈夫っすよ、カチューシャならここに……って、アレ?」
手に握っていたカチューシャを指で振って見せながら、ふと違和感に気が付いた。
倒れ込む前まで確かに二つ付いていた片耳が綺麗さっぱりなくなっている。
「……高尾……てめっ」
頭上で低い声がして、高尾は頬を引きつらせた。
「あ、や、わざとじゃないしっ! つーか宮地さんがいきなり腕掴むからだろっ!?」
「あ? オマエ、焼かれてぇの? 勝手に触る方が悪いに決まってんだろうが!」
今にも殴りかかってきそうな勢いで、ベッドに再び沈められた。のしかかられて見上げた顔はゾッとするような暗い笑みを浮かべている。
確かに勝手に触ったのは悪かったかもしれない。だが、故意に壊すつもりはなかったし、ちょっと被って直ぐに返すつもりだった。
宮地が腕を引っ張らなければバランスを崩す事もなかったのだ。
そんな言い訳をしたところで壊れたものが治る事はないのだけれど。
(つーか、ちょっと枕木に当たっただけでもげるとか、どんだけ脆い作りになってんだよ)
取れてしまった片耳の接着部分を指でなぞり、何気なく反対側の耳を指で摘んだ。
「ん?」
よく見たら、反対側の耳までグラグラしている。初めから接着が甘かったのか、カチューシャに付けられたフェルト部分が既に剥げかかっているのだ。
(うわっ、やっべ)
かろうじて無事だった片耳が剥げてしまったら、さらに恐ろしいことになってしまう!
「え~っと……えへっ」
壊れかけのカチューシャをそっと枕木に置いて愛想笑いを浮かべたが、それで宮地の怒りがおさまるはずがない。
「マジで轢くぞオマエ……悪い事したくそガキにはお仕置きが必要みたいだな」
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