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162.✩リーク
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✩✩✩✩
あれから楓さんとろくに話もしないで家を出た。楓さんのあの様子じゃまた良からぬことをされそうで、ちゃんと話したかったけど運が悪いのか今日は朝から講義が入ってる日だった。
「旭、おはよう。……また楓と何かあったの?」
いつもの学内のカフェで柚里と待ち合わせる。時間ぴったしに来た柚里は挨拶もそこそこにそんなことを聞いてくる。
「おはよう柚里、さすが……鋭いね……」
「ああ、でも楓が原因とは限らないわね。桜さんかしら?」
柚里と桜さんはお互いのことを知っていて、そこそこ仲が良いらしい。今桜さんが帰国していることも知っている。
子供の頃、楓さんと年が近い桜さんは他のお姉さんたちよりも俺たちと遊ぶことが多く、家同士の繋がりはなかったけど弟の幼馴染みとして柚里ともよく遊んでいたそうだ。
「……桜さんと俺が仲良くしてると、楓さんの機嫌が悪くなるんだ……」
「未だに姉弟で旭を取り合ってるのね、面白い」
「全然面白くないよ!今朝だって抱きつかれてたのを楓さんに見られて………」
楓さんのあの冷たい表情と冷気を思い出してぶるっと震えた俺を見て、柚里はくすくす笑っていた。こっちは帰宅後のことを考えただけで泣きたくなるのに……。
「ふふふ、あなたたちは落ち着いていられないのね。一つが片付いたと思ったらまた別の問題が出てきて……大変そう」
「まったくだよ………」
「あらら、尻に敷かれちゃってるわね。そんなに楓は怖いの?」
「……楓さんが怖いんじゃなくて、楓さんを嫌な気持ちにさせるのが怖いんだよね………。かといって桜さんを足蹴にもできないし……」
愛想つかされちゃったらどうしようとか、楓さんをがっかりさせちゃうのが怖い。
俺には楓さんしかいないから楓さんが離れていったらどうしよう、って最近よく思うようになった。
「確か桜さんとデート行ったのよね?」
「な、なんで知ってるの!?デートだけどデートじゃないよ、それ……」
「あなたのことは楓とリークし合ってるから、変なことはしない方がいいわよ?浮気とか」
「俺のプライバシーは……?っていうか、浮気なんかするはずないでしょ……そんな度胸ないから……」
柚里と楓さんが俺の情報をやり取りしてることは知ってたけど、まさか桜さんと出かけたことまで知られてるとは思わなかった。
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