アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
2
-
月曜日、出社するとすぐに携帯にメールが届いた。彼からだ。昨日の事に対する謝罪と、後輩の事、それと金曜日に食事に行こうという内容だった。
「また、」
それ以上は言うのを止めた。彼は優しいから、友達や後輩を蔑ろに出来ないだけだ。そんな人に対して優しく出来る彼を好きになったのだから。僕に冷たいわけではないのだから。実際、彼はこうして僕に会おうと言ってくれているじゃないか。そう自分に言い聞かせた。
僕はパソコンの電源を着け、起動する画面を眺めていた。
仕事が終わり、会社を出ようとした時、偶然彼に会った。
「ああ!丁度良かった。ごめん、金曜日なんだけど、無理になった。大学の時の仲が良い奴らで集まろうって話になったんだ。実はその中の一人に彼女と別れたばかりの奴がいてさ、そいつを励まそうって話になって、断れなかったんだ。」
ごめん、そう言って彼はまた埋め合わせの約束をした。
「…うん、分かった。僕の事は気にしないでいいから、楽しんで来て。」
僕の笑顔はきっと引きつっていて、笑顔とは言えないだろう。それでも彼は、また連絡するからと言って、去って行ってしまった。
「気付かれなくて、良かった。」
会社を出ると、酷い雨だった。傘はない、けれど僕はそのまま自宅へ向かって歩いた。
いくら会社から近いとはいえ、自宅に着く頃には全身ずぶ濡れで、体は冷え切っていた。抱えていた鞄をタオルで拭き、シャワーを浴びる。温かいお湯を浴びながら目を閉じると、一気に眠気に襲われた。とても疲れた、適当にシャワーを済ませ、髪も濡れたままベッドへ入った。早く眠りたかった。
朝になり、異変に気付いた。目覚まし時計を止め、起き上がろうとするのに力が入らない。さらに声が上手く出せない。昨日の自分の馬鹿さ加減に落ち込みながらも、体を引き摺る様にして歩き何とか体温計を取りに行く事が出来た。
「最悪、だ。」
小さな電子音が鳴り恐る恐る覗くと、体温は39度近かった。思わず声を出すと、咳が止まらなくなった。直ぐに会社へ連絡し、休みを貰った。その後、またベッドへ引き返し横になる。悪寒で震える体をしっかりと抱き締め、また目を閉じた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 10