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夜–1
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ささやかな抵抗をしたものの、エレベーターはあっという間に最上階にたどり着いてしまう。
せっかく嫌われないまま、お別れができると思っていたのに。
こんな所まできてしまったら期待してしまう。
自分が嫌われない理由を見つけるのは難しい。
だから誰とも関わりたくないのに。
誰かと深く関われば、何かが変わってしまう気がする。
嫌われたくないから変わりたくない。
これまでそうしてきたし、それを変える気はないのだから。
神経が過敏になっているのか、少しの刺激で跳ね上がりそうになる。
さっき駐車場で下半身に走った痛みはズボンを押し上げるこの昂りだった。
収まらないでいるそれに気付かれないように膝をなるべく曲げてじっとしている。
今だって、抱えられているだけなのに中心に熱が集まってしまっている。
そうなってしまった理由もわからないけど、なってしまっているものは仕方ない。
隠し通せるだろうか。
何かされたわけでもないのにこんな事になっているなんて、自分でも意味がわからない。
抱えられたまま靴を玄関に放られ、ジャケットだけ脱がされてそのまま乾いたバスタブに落とされた。
「ゆ、ゆうやさん?」
まさかこのまま水でもかけるつもりだろうか。
僕を睨んだままネクタイをはずし、自分のジャケットをバスルームの外に放り出すと何のためらいも無く固定されたシャワーの蛇口をひねった。
「っ、ちょっと、まってくださいよ、優也さんっ」
「五月蝿い。お前誰かに触られてきただろう。消毒してやるから抵抗するな」
水じゃなくてお湯だった事に安心したものの、服のままシャワーをかけられている異常事態に体が固まって逃げ出せない。優也さんが器用にバスタブの外からシャツのボタンを外している。
消毒、消毒って。どういう意味だ。
シャツを脱がし終わった優也さんがタートルネックに手をかけて僕を見る。
「破られたくなければ脱げ」
有無を言わさない口調。
恐る恐る僕はびしょ濡れになったタートルを頭から引き抜いた。
これでは家にも帰れない。
優也さんの指が僕の肩を掴む。
「どこを触られた?」
…
「だんまり。ね。いいよ別に。愁の体が素直な事はさっきのでよくわかってるから」
「そんなんじゃ、ないです。」
素っ気ない返事が気に入らなかったのか、肩を掴む手に力が加えられる。
ガブリと首筋を噛まれ、後ずさった背中を支えられて首が大きく後ろに仰け反る。
何かを食べるように噛み付いている姿はまるで肉食の獣のよう。
漆黒の濡れたように艶やかな毛並みをもつ黒豹。
つけられた痕を見せつけるように喉をさらしてしまって肉食獣相手に無事ですむはずもない。
跡形もなく食べられてしまえばいいのに。
そうしてくれたら嫌われる心配もしなくてすむ。
その口に取り込まれて少しずつ咀嚼され、体内に溶け込んでいくのを想像する。
不思議と全然恐くない。
むしろ、それはとても喜ばしい事なんじゃないだろうか。
噛まれて吸われている首筋は、血が滴っているんじゃないかと思うくらいに熱を持っていて、痛くて熱い感覚が自分の物ではないような気がして…
それ以上に、下半身の疼きが強くなっているのを自覚して恥ずかしくなった。
息を吸うのと同時に声が漏れそうになって自分の手首を噛んで堪える。
「声くらい聞かせてくれよ」
楽しそうに言いながら僕をまたいでバスタブに入り込む。
片手で僕が口にしていた手首を押さえつけ、反対の手はするりと胸の突起に当てられる。
「いたっ」
お湯の刺激で少し立ち上がっていたそれを潰すようにつねり上げられて不満の声を上げてしまった。
鋭い眼光に睨みつけられて体が縮む。
「愁は本当に色が白いな。これだけ白いと、全てを痕にして残せそうだ。」
シャワーを背中に浴びた優也さんはそのまま僕の胸に噛みついた。
「ひぃーっ。あっ、ふっ、やめっ。ああっ」
噛みついた側から舐めまわされる。
痛いのかくすぐったいのか、気持ちいいのかさえわからない。
ズボンを押し上げるそこをタートルネックで必死に覆う。
「あっ、んんっ」
じゅるじゅるっと音をたてられ、シャワーの音と重なってタイルの壁に響く。
息が上がってしまって心臓がばくばくしているのが聞こえてしまいそう。
ようやく口を離されたそこを見て愕然とする。
キスマークというには大きすぎる、痣。のような形が左の乳首より遥かに大きく、くっきり残されていた。
目を細めて満足そうに
「愁が答えないままだと、朝までには体中痣だらけになるな」
指でなぞりながら笑う
…それは、笑えない話じゃ…。
首筋が視界にはいった途端にぎょっとした。
シャワーの蒸気でほんのり赤くなった肌の上、それに負けない赤さで大きく”痣”がつけられている。
全てを残す。
そう言ったのは冗談じゃなかったのか。
本気で…?
寄せられた唇が牙の生えた猛獣の物のように見えて
「触られた、のは、背中と、首だけです」
観念してそう答えるとようやく満足そうに笑った。
こんな状況なのに惚れ惚れするくらいに鮮やかな微笑み。
美貌って男相手でも凶器だ。この人は分かっていて使いこなしているんだろうか。
「背中、ね。ここは触らせなかったの。」
広がる痣の中心を摘ままれて、また噛み付かれて背中が仰け反る
「やぁっ、ああっ」
堅く尖るような形に変化していたそこは、痛みより快楽を拾ってくる。
噛まれた痛みを和らげるように優しくなめまわされて、また情けない声をあげてしまう。
本当にどうなってしまったんだろう。この体は。
シャワーのお湯をかぶり続けている優也さんの髪がはらりと落ちて引き締まった輪郭に影を落とす。
シャンプーか香水かわからない香りが漂う。
小さく喘ぎながらその芳香を吸い込むと、頭の奥が痺れるようにぼんやりしてしまう。
まるで媚薬だ。
昨日からこれにずっと頭の芯が痺れている。
それが正しいとさえ…
「あっ、ううっ」
いきなり下半身を掴まれて引き戻された。
「これは?いつから?」
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