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フタミ_3
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資料室に入ると、真ん中の机を陣取って書類が広げられている。
河野さんが見当たらないけど、これは僕が手がけていた物だ。
仕訳をして説明しやすいように並び替える。
河野さんの作業量を考えたら、今後しばらくは定時で帰れる日はこないだろう。
少しだけ申し訳なく思っていると、扉が開いて紙コップを2つ持った河野さんが入ってくる。
「長くなりそうだったから飲み物持ってきた。」
そう言われて渡されたコップには食堂でもらってきたんだろうお茶が入っていた。
「ありがとうございます。ちょうど喉がかわいていました」
少し口をつけて机に置く。
頭痛のせいか、何だか苦い気がした。
これは本当に熱があるのかもしれないな。優也さんに言われた通りだ。
笑ってしまいそうな口元を押さえて机に向かう。
「どうかしたのか?外暑かったのか。水分とらないと倒れるぞ。ちゃんと飲めよ」
頷いてコップを受け取り、飲みながら説明を始める。
「急な事で申し訳ありませんが、提出の期日が迫っている物から説明させていただきます。」
書類を数種類にわけて少しずつ進捗状況を説明する。
少し時間はかかっても、もともと僕が入社するまでは河野さんがやっていた仕事だ。
特に問題はないはず。
それより、だんだん酷くなってくる頭痛に意識がいってしまう。
もう少し、もう少しと頭痛を押して説明をしていても、河野さんが僕の方ばかりを見ている気がしてなんだか落ち着かない。
「こちらは資料集めが終わっていてデータ入力がまだのものです。図面データの更新と入力をしてもらえればいいと思います。で、こちらが資料はそろっているけどデータとしては不十分な資料です。不足部分はこちらにまとめてあります。」
書類を何枚も広げて、あっちこっちと説明をしているうちに、文字が霞んで見えてきた。
話を続けようとしても目が回ったみたいに視界がまわっている感覚。
慌ててお茶を口に含んでようやく気付く。
何かがおかしい事に。
そうして気付く。
急激な頭痛が勝てない程の睡魔に。
立っているのも困難な立ちくらみ。
「南野、大丈夫か?」
そう言う河野さんが笑っているように見える。
まさか、このお茶ー。
そういえば河野さんはいつもペットボトルでお茶を持っていて
食堂の紙コップを使っている所なんて見た事なかったかも。
何か盛られた、かもしれない。
笑いながら伸ばしてくる腕から逃れたくて走り出そうとしたところで河野さんが何かしゃべりかけたけど、もう何もわからなかった。
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