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暗い夜 愁_1
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突然、自分の体が浮き上がった。
「ふぇ?」
驚き過ぎて喉から空気が漏れてしまった。
よく見ると優也さんの肩に担がれているのがわかって、まじまじとその横顔を見てしまう。
さっきまで難しい顔して何かの書類呼んでたくせに、突然どうしたのか。
「なんだ。俺の相手より荷物の相手の方が大切か。やっぱり先にシャワーにしよう。」
「ひ、ひ、ひとりで浴びれますっ。降ろしてくださいーっ」
わたわたと手足を動かす僕の抵抗もむなしく風呂場に連れていかれる。
担がれたままパンツごとはぎとられて下半身丸出しのまま床に降ろされる。
上半身のジャージの裾を握って、なんとか隠そうとしている僕を横目に、優也さんは自分の衣服を脱いでいく。
「え、ちょっ、優也さん?」
「なんだ。愁、服着たまま入るのか?風邪ひくぞ。」
そう言ってさっさと浴室に入っていく。
シャワーの蒸気が流れでてくるのを目で追うと、優也さんの引き締まった背中が見える。
ずるい…
そんな体見たら触りたくなってしまう。
「愁、おいで。」
優しい声に観念した僕は、ジャージを脱ぎ捨てて、優也さんの背中にしがみついた。
どくんどくん、心臓が動きだす。
「優也さん…ごめんなさい…」
小さく呟いて腕に力をこめる。
「…勝手に出て行った事を反省できるか?」
優也さんが僕の手をとる。
「勝手に、出て行ってごめんなさい。」
「次は絶対に怒るからな。」
振り返った優也さんが僕を抱きしめる。
その手も体も、熱くて熱くて。欲しかった熱にまた包まれた事が嬉しくて仕方なかった。
「ごめん、ひぃっく、なさい、うっく」
「もう大丈夫だ。俺の隣にいる間は何も心配ない。だから勝手にいなくなるな。」
もう出ないと思っていた涙がぼろぼろ溢れてきて、嗚咽しか出なくなる。
「ひっく、っく、ごめん…」
泣き続ける僕の頬に優也さんが口づける。
「もう謝るな。」
「っく、ひっく、優也、さん…好き、好きなんです。優也さんが、いないなら、もう会えないなら…死んだ方が、マシだと思って。でも、また会えた。だから、僕、もう死んでもいいんです」
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