アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
知ってほしい
-
「速見は、どうして俺だったの?」
星がキラキラ瞬く空を見上げて、ポツリと呟く。
沈黙が重かったせいもあるけれど、それは、聞きたかった質問のうちの1つだった。
「何が?」
「・・・女にしたのが。弁当作れるからじゃねーだろ?」
こんな寒い中で俺を待っていた。
笑って「苦じゃない」と言ってくれた。
無理矢理酷いことをしても許してくれた。
二人で歩いて、キスをして、
それは、速見が思う『女』に対する行動なのか。
速見は、どうして俺を『女』にしたのか。
『女』は、俺以外でも良かったのか。
・・・俺を『女』にしたのは、俺の昔を知っていたからなのか。
「・・・別に、お前が良かったからだ」
「なんで?弁当作れるから?」
「違う」
間髪入れずに、真っ直ぐ穏やかに否定する。
「・・・お前が良かったんだ」
「・・・なんだ、それ」
まるで答えになっていない答えに肩をすくめる。けど、不思議と嫌な答えではなかった。
速見の答えは、まるで『お前じゃなきゃ駄目なんだ』と言っているような、そんな含みがあるように聞こえた。
"俺だけ" "俺だから"
寒さで少し冷えていた頬に、また熱が集まりだす。
自意識過剰なのかもしれない、ただの勘違いなのかもしれない、
だけど、俺の中で1つだけ、速見に対してある感情が芽生えた。
ーーーもっと、速見が知りたい。
速見が何を考えているのか、何を思って行動しているのか、俺のことをどう思っているのか。
「あのさ、速見」
ーーーだから、速見にも
「ん?」
ーーー速見にも、俺を知っていてほしい。
「俺さぁ・・・昔、『女』だってイジメられてたことがあるんだよ」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
37 / 73